交際をスタートさせ、結婚を意識していた28歳の女性と29歳の男性。
交際2ヶ月目には、1泊2日の初めての旅行を計画し、関係はさらに一歩進んだように見えました。これから結婚に向かって進むのかと思いきや、A君はBさんに突然別れを告げました。一体なぜなのでしょうか?
A君(当時29歳)は、発達障害はなく、研究者として働いています。 Bさん(当時28歳)は、ASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠陥・多動性障害)の特性を持つ薬剤師です。
取り返しがつかない暗黙の7つのマナー
- 彼女が使った後の浴室には、抜けた髪があちらこちらに付着していた。
- 彼女が使った後の浴室には、シャワーがもとに戻っていなかったりシャンプーやトリートメントが元の位置に戻っていなかった。
- 彼女が濡れた後を置いたと思われるバスマットは後に使う人(A君)のことをまるで考えていないと思われるほど、びしゃびしゃで「ぐしゃっ」となっていた。※濡れるのは仕方ないがせめて配慮のあとが見えてほしい
- 翌朝、彼女が使った洗面所周りや床は水滴が激しく跳ねて濡れた状態のまま拭われてもいなかった。
- 洗面ボウルにも髪をといた後の抜けた髪が付着したまま放置されていた。
- ホテルをあとにする時に、寝て起きたままのベッドの状態だった。
- ごくごく簡単で構わないから部屋を使用したあとを“まとめる”などの配慮がほしかった。
別れの理由は「日常のマナー」?
彼女が使った浴室は、髪の毛があちらこちらに散乱し、シャワーやシャンプーも元の位置に戻されていませんでした。また、びしょ濡れのバスマットが無造作に放置されており、洗面所周りも水滴が散乱したままでした。
A君はこうした行動に対して、結婚生活が「汚部屋」になる将来を想像してしまったといいます。
「僕、小うるさいですか?」とA君は質問しましたが、彼の指摘は決して細かいものではなく、社会通念として一般的なマナーの問題でした。
A君がBさんに別れを告げた理由は、次の2つに集約されます。
- 自分が汚した場所は自分で片付けること
- 後に使う人の気持ちを想像すること
これらは、ASDやADHDの特性を持つ人にとっては難しい課題ですが、A君にとっては譲れない常識でした。
ASDとADHDがもたらす課題
ASDやADHDの特性を持つ人々は、社会通念や一般常識に苦手意識を持つことが多く、結果的に恋愛や結婚においても大きな壁となることがあります。
学校や親から教えられた常識やマナーが、社会に出ると「自分で見て学ぶもの」となるからです。
今回のBさんの例もそのひとつで、A君は将来を考えた際に、この価値観の違いが結婚生活に影響を与えると感じたのです。
しかし、BさんはA君の指摘を受け入れ、その後マナーを改善する努力を続けました。その結果、今では多くの人に愛される魅力的な女性へと成長しています。
Bさんはその後、元カレであるA君の最後の優しい指摘受けて、忠実にそれらを直そうと努力していました。
BさんはこれまでA君を除いて4人の男性と交際をしてきたのですが、いずれも短期間で恋が続かず(1人の彼氏とは約2年付き合ったけれど、それが最長とのこと)、理由のわからないまま振られたり、次第に連絡が減り自然消滅になったりを繰り返していたそうで
「自分の性格が悪いんだとずっと思っていたけど、どこを直せばいいのかわからなくて八方塞がりで自分に自信がなかった」「原因がわかって常識やマナーが欠けていると知った時は落ち込みましたが、A君のおかげで理由がはっきりとわかって嬉しい」とすごく前向きになられました。
まとめ
ASDやADHDを持つ人が社会的なマナーを理解することは難しい場合があります。
しかし、指摘を受け入れ改善しようとする姿勢があれば、成長のチャンスは大いにあります。今回のケースは、こうした課題に直面する人々へのヒントになるかもしれません。
今回のBさんの例はまさにその1つでした。A君の指摘を「細かい」と思う人もいるかもしれませんが、彼が言いたいことは2点だけです。
- 自分が汚したものは片付ける
- 後に使う人の気持ちを想像して動く
お子さんやご主人や彼氏が「食べたら食べっぱなし」だと、米粒が付着して固くなったお茶碗を洗うのって、すごく大変だったりするでしょう?
せめて食べ終わったら水に漬けておいてくれたら洗いやすいのに…って思ったことのある人は多いんじゃないかな?
トイレに入った時にトイレットペーパーの芯が放置されたまま(取り換えられていない)だったり、残り2cm程度だけを残した状態のロールに怒りがふつふつと湧いたことのある人も多いと思います。
A君が言ってるのはまさにこういうことです。
- 自分が汚したものは片付ける
- 後に使う人の気持ちを想像して動く
こういった当たり前が「あらゆる部分に身についていてほしい」。ただこれだけのことなんだけれど、これが多方面に向けて身についているかいないかって、男性にとってはけっこう大事なことかもしれません。
なぜなら男性は「恥をかきたくない」という思いが生物的に強いですから、常識や社会通念が一部に欠けていると思しき女性と一緒にいると「自分が恥をかく」可能性が高くなります。
若いうちの付き合いはよくても、結婚を視野に入れた年齢になると、そういったものが自然に身についている女性をどうしても選んでしまいます。
「振られた理由がわからない」「何度も似たような振られ方や短い恋ばかり繰り返している」「でも原因がわからない」とご自分を過剰に責めている方へ――発達特性に有無に限らず、もしかするとこういったところにヒントと答えが隠されているかもしれません。