報復にあったイジメ加害児童
私自身の目撃経験として――中学の時のイジメ首謀者(女子)が、自分がイジメていた子達の一致団結により復讐されて苛めることをやめた以外の例は見たことがありません。
私は、苛められていた子達と塾のクラスが同じだったため「復讐の私刑(リンチ)計画」が着々と進んでいるのを耳にしていました。
これはさすがにまずいぞと、大人を巻き込んだ方がいいだろうなと私刑予定地管轄の警備会社に事前に通報。見張りの強化を依頼。首謀者が殴られたり蹴られたりするのがそれぞれ2回ずつくらいのところで警備員さん達が止めに入りました。
現場は巨大マンションでしたので、それが行われる場所の詳細までは部外者の私は知ることができず寸でのところで間に合いませんでしたが――報復した側の子達も――多少の留飲は下がったのではないかなと当時、子どもながらに思いました。
こういった報復のようなかたちや病気や大怪我以外で、イジメ首謀者がイジメを止めた例を私自身は見たことはありません。ドラマや漫画、小説のようにはいかないものだなと現実の残酷さに強い憤りと無力さを感じます。
イジメ加害者が治療に来るとき
クリニックには、イジメを受けている人やその親御さんがいらっしゃりカウンセリングや治療をうけられます。「イジメ加害児童」やその親は来院しませんので、治りようがありません。
ただし例外もあります。
10年、20年が経って、自らが社会でうまくたちいかなくなった時に――例えば職場でパワハラにあったり仲間外れに遭ったり等――初めて自分が過去にしていたイジメの惨さに気がつき、カウンセリングにいらっしゃるかたもいます。
被害者の立場になったことで、長い時間をかけてようやく自分の罪の重さに気づかれ、謝りたいと泣き崩れる方もおられます。
「気持ちはわかりますが、もう近づいたらダメですよ」「相手に当時のつらさを思い出させるようなことをしてはいけない」と説得することに時間を要します。
中には謝罪を求める方もいらっしゃるかとは思うのですが…イジメの内容が酷い場合は強烈なフラッシュバックが起きてしまう恐れもあるため、私は止めることが多いです。
イジメ加害児童より優先すべき「親」のカウンセリング
中学生・高校生ともなるとイジメ加害児童の背景には家庭内になにかしらの課題があることが少なくないため、本人を治療するだけでは到底足りなくて、本人の親御さんの治療がなにより先決で必要だというのが私の考えです。
だけど、無理やり押しかけて「息子さんより娘さんよりあなた方に問題が!!」と治療するわけにもいかない。
イジメが事件化して「加害児童の親」として世間の知るところになってはじめて→眠れなくなり→食欲がなくなり→通院みたいな流れになるから、うーん…なかなか難しいのが現実です。
イジメっ子がイジメをしなくなる方法なんてあるのか〔前編〕←後編を待たずに「補導逮捕などの大きなきっかけがない以外、ほぼないです」と書きたい気持ちはありますけど、そうも言ってられないので頑張って続きを書きます。
現役の教員の方へのヒアリングを通じて、私自身も学びを得ながら書いておりますのでリアルな現場の声を届けられるかと思います。近日公開(予定)。