二分脊椎とASDの32歳の女の子[5]
顕在性二分脊椎である奏多さんの大きな悩みは『尿意のない失禁』と『職場での導尿が苦痛であること』だった。
導尿――この言葉を初めて見聞きする人も、文字を見れば「尿を導く」という字面はすんなりと入ってくると思います。でも具体的にイメージのできる人は少ないのではないでしょうか。
まずは小学生の子どもたちにもわかる言葉を用いて、導尿を解説してみます。
導尿ってなあに?
導尿とは、おしっこが自分で出せないときに使う方法のことだよ。おしっこをためる袋(ぼうこう)から外に出すためのチューブを使うんだよ。
どうして導尿をするの?
けがや病気でおしっこが自分で出せないときに使うよ。おしっこがたまりすぎると体に悪いから、チューブを使って出すんだよ。
どうやってやるの?
お医者さんや看護師さんが、小さなチューブをおしっこの出るところ(尿道)からぼうこうに入れるんだ。そして、そのチューブを通しておしっこが外に出るようにするんだよ。
痛くないの?
最初はちょっと違和感があるかもしれないけど、お医者さんや看護師さんが優しくやってくれるから安心してね。
導尿した後はどうなるの?
おしっこがちゃんと出るようになったら、チューブを抜いて、普段通りに戻るよ。
導尿は、おしっこが出せないときに体を守るための大切な方法なんだ。お医者さんや看護師さんがしっかり手伝ってくれるから、心配しないでね。
体や心が大人になっていくにつれ当事者は「自己導尿」を選択せざるをえなくなります。
それがいかに日常生活においてハードルが高く、メンタル面においても(必要なこととは言え)なかなかに受け入れがたいものであるかは当事者になってみないとわかりません。
とくに女性ならばことさらその思いは強いだろうと想像がつきます。
女性の自己導尿~尿意がないという困難:導尿がもたらす身体的・心理的な影響
- 身体的なつらさ
- 痛みや不快感: チューブを尿道に入れる際に痛みや違和感を感じることがあります。
- 頻繁な導尿: 病状によっては、1日に何度も導尿を行わなければならず、これが負担となります。
- 感染リスク: 清潔に行わないと尿路感染症のリスクがあり、これがまた体に負担をかけます。
- 心理的なつらさ
- 不安やストレス: 導尿を自分で行うことに対する不安やストレスがあります。特に最初のうちは、正しくできるかどうか心配になることがあります。
- 自己イメージへの影響: 自分で導尿をすることで、自分の体に対するイメージが変わり、自信を失ったり、悲しい気持ちになることがあります。
- 日常生活への影響
- 時間と手間: 導尿は時間がかかる作業で、特に忙しい日常生活の中では負担となります。
- 外出の制限: 導尿をするためには清潔な環境が必要なので、外出先では困難を感じることがあります。
- 社会的な影響: 周りの人に導尿のことを話さなければならない場面があると、恥ずかしさや困惑を感じることがあります。
- 長期的な不安
将来への心配: 導尿を続けなければならない場合、将来的に自分の体や生活がどうなるのかについて不安を感じることがあります。
自己導尿へのサポートと心のケアはセットで必要
自分で導尿をしなければならないつらさを少しでも和らげるために、医療スタッフや家族、友人のサポートが重要です。また、同じ経験をしている人との交流や専門家のカウンセリングも心の支えになります。