心と体の専門家としてクリニックに20年従事し、最近ではGiftというお悩み相談アプリ[App Store][Google Play]でカウンセラーもしています。
「婚活」という単語が世間一般に認知されるようになって久しいですが、それとともに心と体を痛める方が増えてまいりました。
このように書くと、「婚活がうまくいかないから心を痛める」と思われがちです。もちろんそれもあるかもしれませんが、クライアントの話を親身に聴いていると……
「妥協」をしなくていい理由
妥協したのにうまくいかない――これが理由で、体にまで異変が起きるほど心をつらくさせる人が多いという印象を受けます。簡単な例を挙げると
本当はAもBもCも兼ね備えている人と知り合いたい! つき合いたい! 結婚したい!
だけど自分はもう~歳だし、美人/イケメンでもないから妥協しなければ……Aを持ってる人くらいでいいか……
このように『理想を下げて』相手を探す。
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マッチングアプリで「いいね!」を押してくれたAを持った相手とマッチングを成立させた。デートをした。相手は自分に乗り気ではなさそう。
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こっちだって本当はあなたなんて理想じゃないのに……! 妥協をしてマッチングしただけなのに、なによ! なんだよ! 馬鹿にして!
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結果的に『妥協した相手から振られたような形になった』
これです。こういった経験が1度2度と重なっていくと、いとも簡単に人は自尊心を傷つけ、体にまで苦しさがあらわれてくるようになります。
誰のための妥協ですか?
たかが婚活で、ではないんですよね。キーワードになるのは「妥協をしてしまったこと」です。
わかりやすく婚活を例に挙げましたが、長~く生きている者として、又、専門家として多くのクライアントを診てきた経験からの意見になりますが、夢も希望も目標も妥協はしなくていいです。
むしろ妥協が心を、時に体まで壊す
妥協することと、自分の心に「折り合いをつける」ことは似ているようでまったく違います。とことんやって自分で納得ができてはじめて、ようやく人は自分に折り合いをつけることができます。
もっと平たく言えば、「妥協せずとことんまでやり切って、納得した! 自分には向いてなかった! でもやりきったぞ!」と清々しい気持ちで自分に引導を与えられたら……こんなにも素敵なことはありません。
納得いくまでやり切る、やり続けるって誰にでもできることではないから、当初の目標とは違うところにたどり着くかもしれないけれど、大小さまざまな経験や力、人間としての魅力は確実に身についています。
「妥協」が人の心を壊してしまう
だけど、世間一般論や周囲からの声、自分の内なる「うまくいかなかったときの保身・言い訳の声」に負けて妥協すると――人って簡単に自身の心を壊してしまいます。
- 「妥協したのにうまくいかなかった」
- 「自分の本心にウソをついて妥協までしたのに」
- 「あの時、親の言うことを聞いていなければ」
- 「あの頃、世間の目を意識して自分にウソをつかなければ」
こういった後悔はとてつもなく長くつきまといます。
やり遂げた人を羨むあまりに嫉妬や憎さが心に巣食ってしまったり。自分より劣る人を見つけてマウントをとらなければ平常心を保てなかったり――。
だから私は「夢や希望、本当に叶えたい目標があるなら妥協はしなくていいよ。自分で納得ができるまではとことんやり切ればいい」とつねづね思っています。
こんな症状がでたら、その頑張りは一時停止
- 自分で納得して「諦めることを受けいれた」
- 本当は納得していないけど、諦めることにした
どちらも自分の選択です。
どちらも間違っていないと思います。
ただ、誰かを蹴落としたり誰かを憎んだり、ストレスで眠れなくなったり自傷してしまったり尿に血が混じったり、体をかきむしったり等々の異常が心身にでてきたらその時は、ストップです。休憩です。
医療の力に頼ってください。「正しいとは言えない、あなたに合わない、頑張り方をしている」ということをお医者さんやカウンセラーが教えてくれます。