毒親から自立したい、逃げたい十代新書〔2〕セーフティハウス

機能不全家族/愛着障害
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毒家族・毒親・毒きょうだいとあなた

進学や就職をきっかけに「一人暮らし」をするなど、頭では物理的な距離を取ることが最適だとわかっていても、毒親の支配が強い場合や恐怖心がある場合、実際に行動に移すのは非常に難しいことがあります。

また、毒親がわが子の一人暮らしを阻害しようとするケースもあります。そういった子どもたちに向けて、今回は以下の5つの提案をしてみます。

1.小さなステップから始める

いきなり「ひとり立ち」をしようとすると、大きな不安や恐怖心に押しつぶされることがあります。まずは、親との物理的な距離を少しずつ広げる小さなステップを踏んでみるのはいかがでしょうか。

たとえば――24時間空いてるスーパー銭湯や健康ランドを利用したり、週末や長期休暇に友人や親戚の家に滞在することで、親から離れた環境に慣れる時間を作ることができます。

少しずつでも親の支配から離れる感覚を体験することで、自信を持つ一歩となるかもしれません。

私の担当する患者さんのばあいだと、前述したようにスーパー銭湯を利用して「外泊」してみたり、1泊2日の近県への小旅行やビジネスホテル利用から始めて、2泊3日の中距離県への旅行、2泊3日の遠方への旅行など、

すこしずつ毒親と離れる「距離と時間」を増やしていき、毒親と離れる体験を積み、段階を踏んで恐怖心を薄めていくことを提案することが多いです。

真由先生
真由先生

ちなみにわが家は旅行・学会・研修・講演その他の宿泊予約には「agoda」を使っています。

プランにも寄りますが前日キャンセルまでならキャンセル料がかからないものがあるので――要確認――緊急事態が発生しても前日キャンセルで損がでない。めちゃ助かってます!!

一時的に「子どもシェルター」「女性と子どものセーフティハウス」を利用したり、シェアハウスに越したり、ひとり暮らしをしたり…。自分の意思で自由に生き方や暮らし方を選んでいい。選択肢は目の前にいくつも広がっています。

2.信頼できる大人や専門家に相談する

親との関係に悩んでいる場合、一人で抱え込むと不安がさらに大きくなることがあります。信頼できる学校の先生やカウンセラー、保健師などに相談することで、外部からのサポートを得ることが大切です。

また、親との関係をどう改善すべきか、またはどのように物理的な距離を取るべきか、具体的なアドバイスをもらえる場合もあります。外部の視点から助けを求めることで、自分の状況を冷静に見つめることができるでしょう。

3.計画を立てる

一人暮らしをするためには、金銭的な準備や住む場所の確保など、いくつかのステップが必要です。

親からの阻害がある場合でも、自分自身でしっかりとした計画を立てることで、実行への一歩が踏み出しやすくなります。
自分の目標や計画を明確にし、将来に向けて具体的な行動をリスト化することで、親の干渉を受けても迷わず進む道を持てるようになります。

このステップは個々の事情で異なります。

①就職や進学を機に一人暮らしができる人もいれば
②自分でお金をためて毒親と離れる選択をとる人
③命からがら逃げるように自立しなければならない人
④自分ひとりじゃなく、きょうだいを連れて逃げる必要がある人

事情はそれぞれ。

ASDやADHD、境界知能などがあり、手順をつくり順序だてて行動することが苦手な人は、信頼できる友人や信用のおける大人にステップを作成してもらうのもひとつです。

全部を自分でしようと思わなくていいし、すべてを自分でしなければと思うと「どこからやればいいのかわからない…」と結局、身動きがとれなくなってしまうこともあるからね。頼れる人は頼りましょう。

4.緊急時の逃げ道を確保する

毒親からの支配がエスカレートし、精神的・身体的に限界を感じる場合、すぐに助けを求められる場所や人を確保しておくことが重要です。

例えば、信頼できる友人や親戚の家に避難する手配をしておいたり、地域のサポート機関と事前に連絡を取っておくなど、緊急時に頼れる場所があると安心感が増します。

「最悪の事態でも逃げ道がある」という意識を持つだけでも、気持ちの余裕が生まれるかもしれません。

5.自分の感情に寄り添う  

親から離れることに恐怖を感じるのは自然なことです。

無理に「恐怖を感じてはいけない」と思わず、自分の感情に寄り添いましょう。恐怖心や不安を感じる自分を責めず、その感情を受け入れることで少しずつ心の準備が整っていきます。

感情を抑え込むよりも、自分の気持ちを大切にしながら、少しずつ一歩を踏み出すことが長い目で見て大切です。

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子どもシェルターの活用

子どもシェルターは、親の支配や虐待などから逃れるための一時的な避難場所として、安全に過ごせる施設です。シェルターでは基本的な生活支援やカウンセリングが提供され、将来の住居や生活に向けたサポートも行われます。

子どもシェルターに関する情報は、地元の福祉事務所や児童相談所などで確認することができ、オンラインで調べることも可能です。まずは勇気を持って一歩を踏み出し、相談することが大切です。

セーフティシェアハウスを利用する

シェアハウスは、経済的に自立しにくい若者でも比較的低コストで住むことができ、同じような状況の人々と助け合いながら生活できる環境です。

特に、若者向けの支援を行う団体やNPOが運営するシェアハウスでは、生活のサポートやメンタルケアも提供される場合があります。友達や知人と一緒にシェアハウスに住むことで、親からの支配を逃れつつ、新しい生活を始めることができます。

真由先生
真由先生

ちなみに私の患者さんには、セーフティシェアハウスや子どもシェルター利用者がたくさんいます。

皆、そういうところを頼る前は不安でいっぱいだけど、「やっと眠れるようになった」「人って想像してたより優しかった」「他の部屋の人のいびきがうるさい」「外国人のルームメイトが時差のある母国に電話するので夜うるさい~」など、普通のしあわせや普通の生活を生まれて初めて味わっておられました。〔続く〕

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✍私が書きました
一 真由


心療内科|「心と体」に寄り添い続けて20年。「支える側」を支えたい。当事者には寄り添いたい。ヒアリングをとくに大切にしています。


✓毒親/虐待/機能不全家族 ✓ASD/ADHD/アスペルガー ✓アダルトチルドレン(AC) ✓新型うつ/社会不安障害 ✓不登校児相談 ✓虐待連鎖断ち ✓社会復帰認知の歪み


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