免許返納を嫌がる親への説得・手順・包囲網〔1〕~親の気持ち

人間関係

心療内科に20年も務めていますと、もはや「何でも屋」のように様々な相談が舞い込みます。

たとえばそれは高齢になった親御さんへの免許返納の「説得」を依頼されたり、説得方法をたずねられたり。息子さんや娘さんから免許返納を打診された親御さんからの切ない胸の内をうちあけられたり――。

スポンサーリンク

親の免許返納でぶつかる7つの大きな壁

高齢者ドライバーとなった親(義理の親も含む)への免許返納を説得する際、子ども達が苦労している部分は多岐にわたりますが、特に多い困難をランキング形式で整理し、その理由をお伝えします。

1位:親の拒否反応
理由: 高齢者は運転が自立や自由の象徴と考えており、免許を返納することはその自由を失うと感じがちです。
自尊心に深く関わるため、子どもがどれだけ丁寧に説明しても最初は「大丈夫」「まだ運転できる」と強く拒否します。この抵抗を乗り越えるには時間と労力が必要です。

2位:感情的な衝突
理由: 説得する過程で親が感情的になり、「私を信じていないのか!」「もう年寄り扱いか!」といった反発が起こることが多いです。
この感情的なやりとりは家族の絆に影響を与えることがあり、話が進みにくくなる一因です。

3位:具体的な代替手段の欠如
理由: 免許を返納することで移動手段がなくなることに対する不安を高齢者が抱えることが多いです。
特に地方では、公共交通機関が不十分で、車なしでは生活が難しいため、代替手段を提示できないと返納に踏み切るのが難しくなります。代替案を考え出すこと自体が子どもたちにとって負担となります。

4位:「事故は他人事」という意識
理由: 高齢者は「自分は大丈夫」「事故は自分には関係ない」という楽観的な意識を持っていることが多く、自分の運転能力を過信しがちです。
ニュースで高齢ドライバーによる事故が報道されても、「自分とは違う」と思ってしまうため、説得が難航します。

5位:親の健康や認知機能の低下を認めたくない
理由: 子ども側が親の健康状態や認知機能の低下を認識しながらも、それを面と向かって指摘することに抵抗を感じます。
親の老化を認めるのは辛いことであり、子ども自身が説得の難しさを感じる要因となっています。

6位:兄弟間の意見の相違
理由: 複数の兄弟姉妹がいる場合、免許返納について意見が割れることがあります。
ある子どもが強く返納を進める一方、別の子どもが「まだ必要ではない」と考える場合、家族内での話し合いがまとまらず、親を説得するのが難しくなります。

7位:親の「運転が日常生活の一部」という意識
理由: 高齢者にとって運転は長年の習慣であり、買い物や病院への通院など、日常生活の一部として根付いています。そのため、運転をやめることは生活の大きな変化を意味し、簡単に受け入れられないことが多いです。

これらの要素が組み合わさり、免許返納の説得は子どもたちにとって大きなチャレンジ且つ“長い”チャレンジとなっています。

スポンサーリンク

(当時)72歳の父の免許返納までの流れ

74歳で亡くなった父と免許返納までの道のりをまずは時系列に並べ、実例として挙げてみます。

⦁ 2021年06月09日(水曜日)初回話し合い
⦁ 2021年06月24日(木曜日)第二回話し合い
⦁ 2021年07月18日(日曜日)第三回話し合い
⦁ 2021年08月05日(木曜日)ディーラー/レンタカー業者に依頼
⦁ 2021年08月10日(火曜日)保険会社に連絡
⦁ 2021年09月02日(木曜日)第四回話し合い
⦁ 2021年09月15日(水曜日)廃車専門業者に依頼~手続き
⦁ 2021年10月03日(日曜日)決別
⦁ 2022年01月12日(水曜日)警察署へ自主免許返納

このように書くと、たった6か月! と思われるかたもおられるかもしませんが…いや…2度と味わいなくないストレス過多の6か月でした。

高齢者ドライバーの親の免許返納拒否行動~怒髪天~

腸が煮えくり返って血圧が上がるという経験を、身を以て経験したのは今のところ後にも先にもこの6か月のみです。なにがそんなに頭にくるのか?

⦁ 父親が話の通じない分からずやになっている
⦁ 当事者意識があまりにも低い
⦁ 逆ギレ、泣き落とし、拗ねる、黙る、無視~繰り返し
⦁ 眼科検査の予約申し込みを勝手にキャンセル
⦁ 認知症検査の予約申し込みを勝手にキャンセル
⦁ 「自分は問題ない」と根拠のない自信を前提に拒否
⦁ 2021年4月から5月にかけて2度の“こすり”と、2度のアクセル/ブレーキの踏み間違えを起こしているにも関わらず、なにを以て「問題ない」?

父親に免許返納の話をもっていった時、もっとも驚いたのは父に当事者意識がまるでないことでした。「これは骨を折るぞ…」と長期戦になることを姉弟3人で覚悟をしたものでした。つづく

今回の記事が良い内容だと思われたら下記のボタンを押してくださると嬉しいです。1人でも多くの生きづらさをもった人たちに「メッセージが届いてくれ!」と思って書いています。

人間関係ランキング

人間関係
✍私が書きました
一 真由


心療内科|「心と体」に寄り添い続けて20年。「支える側」を支えたい。当事者には寄り添いたい。ヒアリングをとくに大切にしています。


✓毒親/虐待/機能不全家族 ✓ASD/ADHD/アスペルガー ✓アダルトチルドレン(AC) ✓新型うつ/社会不安障害 ✓不登校児相談 ✓虐待連鎖断ち ✓社会復帰認知の歪み


私が信じるに値するかどうかに不安がありましたら、Gift[App Store][Google Play]のなかで「カウンセラー真由」を探してください。

できればあなたの小さなSOSと「本当は前を向きたい」という思いに気づきたいのです。

一 真由をフォローする
シェアする
スポンサーリンク
タイトルとURLをコピーしました