どうしてお母さんは私に張り合ってくるの?
「若いっていいわね、私も昔はモテたのよ」
「その服、あんまり似合ってないわね」
「あなたはいいわね、私の時代は女に学歴なんて要らないって言われて大学に行かせてもらえなかったのに」
――大好きなお母さんから、ふとした瞬間に投げかけられる、チクリとした棘(とげ)のある言葉。褒められているように聞こえなくもないのに、どこか違和感が残る。
そんな風にモヤモヤした気持ちになった経験はありませんか?
特にあなたが成長して自分の世界を広げ始めた頃から、そんな言葉が増えた気がする…。もしそうなら、それはお母さんがあなたの中に「かつての自分」や「なれなかった自分」を見て、無意識のうちにあなたをライバル視してしまっているサインなのかもしれません。
「まさか、お母さんが娘に?」そう思うかもしれません。でも、これは決して珍しい話ではないのです。このコラムでは「娘をライバル視する母」との関係に悩むすべての女性へ、お母さんの背景にある心理を紐解き、あなたが自分らしく生きられる道を提唱したいと思います。
娘をライバル視する母親は、本当にいる?
「私の母だけかもしれない…」そう思って一人で抱え込んでしまう人もいますが、母娘関係のご相談では、実はよく耳にする悩みのひとつです。
カウンセラーや心理の専門家も、「娘の若さや成功に嫉妬し、無意識に張り合ってしまう母親」は一定数存在すると指摘しています。特別なことではない、とまずは知ってくださいね。
ライバル視が始まりやすいタイミングとは?
1. 娘が思春期(中高生)を迎えたとき
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女の子が少女から女性と成長していく過程は、誰の目にも眩しほどの輝きを放ちます。
異性からも注目されるようになる時期。
それは同時に、母親が40~50代にさしかかり、自身の加齢を意識しやすい時期でもあります。
娘の若さや魅力がまぶしく見える一方で、自分の失われたもののように感じてしまうことがあります。
2. 娘が自立し、成功し始めたとき
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進学、就職、やりがいのある仕事、素敵なパートナーとの出会いや結婚…
娘が自分の力で人生を切り拓いていく姿は、本来喜ばしいはずです。
しかし、母親自身が「本当は私も大学に行きたかった」「もっと違う人生があったはず」といった過去への後悔や満たされなさを抱えている場合、
娘の成功が、自分の人生の“失敗”を突きつけられているように感じてしまい、素直に喜べなくなることがあります。
3. 母親自身の人生に変化があったり、停滞感を感じているとき
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更年期による心身の変化、夫婦関係の問題、離婚、子育てが一段落したことによる喪失感や孤独感…
母親自身の心が不安定だったり、「自分の人生はこのままでいいのだろうか」という焦りを感じているとき、
キラキラして見える娘の存在が、まるで自分の幸せを脅かすかのように感じられ、攻撃的な言動につながってしまうこともあります。
これってライバル視? 母からの「チクチク言葉」具体例
以下のような言葉に、聞き覚えはありませんか? これらは、母親が娘に対して無意識に張り合いやマウントを取ろうとしているサインかもしれません。
- 「若いってだけでチヤホヤされて、いいわねぇ」
- 「あら、その程度のことで喜んでるの? 甘いわね~私の若い頃は」
- 「私だったら、もっと上手くやれたけどね~」
- 「30代に見えるって言われちゃった、どっちが娘さんかわからないって」
- 「そんな彼氏で、本当にあなたを幸せにしてくれるのかしら?」
- 「あなたの苦労なんて、私たちの時代に比べたら楽なもんよ」
こういった言葉の裏には、「私の方が上」「私の言うことを聞きなさい」という母親の満たされない承認欲求や支配欲が隠れている場合があります。
静かに残る、娘のモヤモヤと自己否定
一番身近な存在である母親からライバル視され、肯定的な言葉よりも批判や張り合いの言葉を多く浴びて育つと、娘の心には知らず知らずのうちに以下のような影響が出ることがあります。
- 自分の成功や幸せを素直に喜べず、どこか罪悪感を感じてしまう。
- 何かを決めるとき、無意識に「母は何て言うだろう?」と考えてしまう。
- 自信を持って行動しようとすると、なぜかブレーキがかかる。
- 「自分なんてまだまだだ」と、常に自分を過小評価してしまう。
- 人間関係、特に女性との関係で、競争意識を持ちやすくなったり、逆に過剰にへりくだったりしてしまう。
それは、長年にわたる母親との静かな『心の戦い』が残した、深い傷跡なのかもしれません。
母に対して、どう向き合えばいい?
すぐに解決するのは難しい問題です。でも、あなたがこれ以上傷つかず、自分らしい人生を歩むためにできることはあります。焦らずできそうなことから試してみてください。
1. 必要なら、健全な「距離」をとる勇気を持つ
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物理的に距離をとる(例:実家を出る)、連絡の頻度を減らす、会う時間を短くするなど、心理的な距離を保つことも、時には有効な手段です。
「親孝行しなくちゃ」「母を一人にしてはいけない」という罪悪感を手放すことも考えてみてください。あなたが自分らしく、心穏やかに過ごせる関係性を築くことが、長い目で見ればお互いのためになることもあります。
無理のない範囲で、あなたにとって心地よい距離感を探ってみましょう。
2. 相手の土俵に乗らない、張り合わない
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母親からの嫌味やマウントに対して、言い返したり、認めてもらおうと必死になったりする必要はありません。
それは、母親の「張り合ってほしい」という欲求を満たしてしまうだけかもしれません。母親が満たされない限り、あなたの輝きを素直に喜ぶのは難しいのだ、と少し距離を置いて受け止めてみましょう。
「ふーん」「そうなんだ」と軽く受け流す練習も有効です。
3. 自分の「つらい」「悲しい」気持ちを否定しない
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「母親なのに、こんな風に思うなんて…」と自分を責めないでください。あなたが傷ついたこと、悲しかったこと、腹が立ったこと…その感情は、決して間違っていません。
信頼できる友人やパートナーに話を聞いてもらう、ノートに気持ちを書き出す、専門家(カウンセラーなど)に相談するなど、自分の感情を安全な場所で受け止めてあげましょう。
4. 「母の価値観」が「世界のすべて」ではないと気づく
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幼い頃から母親の言葉は、まるで絶対的なナビゲーションのように感じられたかもしれません。でも、あなたはもう大人です。
母親の価値観や意見は、あくまで「一人の人間の意見」にすぎません。「母はそう考えるんだな。でも、私はこう思う」と、心の中で境界線を引く練習をしてみてください。
自分の心の声に耳を澄ませる時間を作りましょう。
おわりに
一番近くにいるはずの母親との関係に悩むのは、本当に心が消耗しますよね。母親からの「呪い」のような言葉に傷つきながらも、お母さんを大切に思い、なんとか関係を良くしようと、あなたはこれまで本当によく頑張ってきました。
これからは、母親の期待や評価という「古い物差し」ではなく、「自分がどうしたいか」「何が心地よいか」というあなた自身の「新しい物差し」で、人生を測ってみてください。
あなたは、あなたのままで、幸せになっていいのです。心から応援しています✨