「カサンドラ症候群」という名前自体は5年前、10年前に比べるとずいぶんと広く浸透しましたので、その定義は簡単に触れておく程度にします。
カサンドラ症候群とは?
- ASD傾向や、ASDとADHDの合併を持つパートナー(夫婦・家族に限らない)と、家庭内や仕事上で交流する機会の多い人が経験する困難やストレスのこと。
- 主症状としては、不眠・不安・抑うつが挙げられる。
SNSを見ていると、カサンドラ症候群とおぼしき状態につらい声をあげている人たちを多く見かけます。一方で、ASD傾向や診断済みのASDとADHDの合併を当事者として持つ方や、大切なお子さんにその傾向が見られる親御さんが
「カサンドラのポストを見かけるたびに、自分たちは生きていない方がいいのでは」「生きていることが迷惑なっているなんて」
と悲痛な思いを綴っておられるのを先日見かけました。自戒も込めて書きますと、私のブログにも「カサンドラ症候群にならないためには」といった記事を過去に2~3本あげていました。
それらは決してASDやADHDの傾向をもつ方々やそのご家族を非難する意図はなく、カサンドラ症候群とおぼしき症状に苦しむ方々を擁護するためでもなく、
神経発達症に対する誤解や嫌悪・過剰な拒否反応を減らすために、まずは相互理解が深まれば…という気持ちからのものでした。しかし、神経発達症(発達障害)当事者やそのご家族からしてみれば、
ASD傾向や、ASDとADHDの合併を持つパートナー(夫婦・家族に限らない)と、仕事上や家庭内で交流する機会の多い人が経験する困難やストレスのこと。
例えば、上記のような文面さえも「自分たちは周囲に困難やストレスを与える存在である」と、自身の存在理由に心を痛める方もおられるかもしれません。十分に配慮したのですが、該当されるかたがいらっしゃりましたら申し訳ありません。
これまで、当事者の方やそのご家族から当該記事に対して指摘をいただいたことはありません。しかしそれは、配慮をくださったり「どうせ言っても無駄だ」と傷つかれた結果かもしれません。
「カサンドラのポストを見かけるたびに、自分たちは生きていない方がいいのでは」「生きていることが迷惑なっているなんて」
このようなポストを誰もしなくて済む世界がくればいいなと思っているけれど、まだまだそれは実現不可能で。だけど、古い価値観や古い精神論を振りかざす世代が第一線を退いていく過渡期にあり、少しずつなにかがかわり始めている気配は感じます。
しかし、かわり始めているだけで、彼らや彼らのお身内が「生きづらさを手放せた!」とはまだまだ言えず。
医療技術は日進月歩で進化しているというけれど、個々人の価値観や個々人が各々に信じている「これが普通」「これが一般的」「これが常識」という思い込みが、自分とは異なる他者のあたりまえを柔らかく受けいれるまでにはもうしばらく時間がかかるなあと…。
「カサンドラのポストを見かけるたびに、自分たちは生きていない方がいいのでは」「生きていることが迷惑なっているなんて」
このような悲しい思いをなさるかたが1人でも減るように、自分はなにができるだろうかと今一度足元を見つめなおしながら、これからも必要なところに必要とされる手を伸ばせるように、ただひたすらに頑張ってまいります。
真面目・几帳面・完璧主義・我慢強くて面倒見の良い人に起こりやすい心身症状
1. 精神的な症状
- 強い孤独感:一人で抱え込んでしまう
- 不安・抑うつ:気分が落ち込み、何をしても楽しく感じられない
- 怒りやイライラ:理解されないことへのフラストレーション
- 自己否定感:自分が悪いのではないか、努力が足りないのではないかと責めてしまう
- 無気力・意欲低下:やる気が起きず、何をするのも億劫になる
2. 身体的な症状
- 慢性的な疲労感:十分な休息をとっても疲れが取れない
- 頭痛・めまい・動悸:強いストレスによる自律神経の乱れ
- 胃腸の不調:ストレスによる胃痛、下痢、便秘など
- 不眠・過眠:寝つきが悪い、途中で目が覚める、逆に寝すぎる
3. 行動の変化
- 過剰な努力・適応:合わせようとしすぎて自分を犠牲にする
- 他人に相談できない:誰にも理解されないと感じ、孤立する
- 感情の爆発:普段は我慢しているが、ある時急に怒りや悲しみが爆発する
- 人間関係の悪化:周囲の人とのコミュニケーションが難しくなる
4. これらが進行すると…
- うつ病や適応障害につながる
- 心身の健康が深刻に悪化し、生活に支障をきたす
カサンドラ症候群が、特定の誰かと接することによって生じる…ではなく「風邪」や「頭痛」「お腹が冷えてぴーぴーだ」と同じように、この症状が出たらお薬が必要ですよ、治療が必要ですよというカテゴリーに早くなればいいなと思います。
一 真由〔心療内科〕|カウンセラー真由