日本の「きょうだい差別」実態調査から見えてきたこと
こんにちは、一 真由〔心と体の不調に詳しいお節介カウンセラー〕です。
今日から全3回に分けて「きょうだい差別」という、もしかすると皆さんの心にも深く関わっているかもしれないテーマについて、お話ししていきたいと思います。
「きょうだい差別」という言葉を聞くと、ドキッとする方もいらっしゃるかもしれませんね。または、「ああ、自分の家もそうだったな…」と、遠い日の記憶が蘇る方もいらっしゃるかもしれません。
なかには「女の子が産まれたら可愛がろう、男の子は要らない」「男の子が欲しい! 女の子はとくに望んでいない」という偏った考えを持つ人たちも時々はおられます。しかし大半はそうではなく、子どもが産まれたら分け隔てなく愛情を注ぎ、責任をもって育てようと思うものです。
しかし…現実は時に複雑で残酷です。
兄弟姉妹の間で、親からの扱いが違うと感じて、心にわだかまりや傷を抱えている人が、実際には少なくありません。
最近行われたある調査(20~50歳の男女約3,000人対象)によると、兄弟姉妹がいる人の約半数以上が、親からの何らかの差別的待遇を感じた経験があると答えました。これは、決して特別なことではなく、むしろ多くの家庭で起こりうる、身近な問題だと言えるかもしれません。
その調査では、どんな人が差別を感じやすいかという興味深い結果も出ています。親の扱いに「不満がある」と答えた人の割合は、生まれ順や性別によって違いが見られました。
きょうだい差別を感じた人の割合

この図を見ると、特に中間子の女性が67.2%と最も多く「親の扱いに不満がある」と感じていることが分かります。逆に、末っ子の男性は42.5%と、半数以上(57.5%)は不満を感じていないようです。
「やっぱりそうだったんだ…」と、ご自身の経験と重ねて頷かれた方もいるかもしれません。私自身もこちらの結果を見て、やはり生まれ順や性別によって、家庭の中での立場や親からの期待、接し方が異なりやすい現実があるのだと改めて感じさせられました。
きょうだい差別を感じた場面・出来事の具体例
では、具体的にどんな場面で「差別されている」と感じるのでしょうか。調査や当事者の声から、いくつかの典型的なパターンが浮かび上がっています。
また、「『お兄ちゃん(お姉ちゃん)だから』と言われて自分ばかり我慢させられた」と感じている人も53.2%にのぼります。
「しっかりしてほしい」「お手本になってほしい」という親の期待が、時に長子への過度な負担になってしまうことも。カウンセリングでも、「長男長女だからと気持ちを無視された」という声はよく聞かれます。
「自分専用」の物が少ない寂しさや、写真が少ないことへの不満もあります。親は忙しかったのかもしれませんが、子どもから見ると「自分への関心が薄い」と感じることも。
上の子には一人っ子の期間があり、下の子は小さいうちはどうしても手がかかります。その間にいる中間子は、「真ん中」という立場で寂しさを感じやすいのかもしれません。
また、「時と場合によって、上の子扱いされたり下の子扱いされたり、都合よく扱われる」という不満も、中間子の方に多く見られます。
これらの具体例を読んで、ご自身の経験と重なる部分はありましたか?
忘れかけていたにがい思い出が蘇って苦しくなった人、「大人になった自分自身」に過去の親の行為と重なる部分がありつらくなった人、ただ単純に、親のきょうだい差別の背景にある心理を知りたいと思われた人もいらっしゃるかもしれません。
次回は、どうしてこのような「きょうだい差別」が生まれてしまうのか、親御さんの心理や家庭の事情について、もう少し掘り下げてお話ししたいと思います。
【参考文献・出典】
- 親は自分よりも他のきょうだいの方が好き? 〖きょうだい間格差について調査〗 親の扱いに末子男性の57.5%は「不満ない」 一方、中間子女性の67.2%が「不満あり」! | 合同会社serendipityのプレスリリース (prtimes.jp)
- きょうだい差別をしてしまう…その心理と子どもの人格への影響は?専門家に聞いた|ベネッセ教育情報サイト (benesse.jp)
- <きょうだい差別>両親からお金の援助を受けるのは弟だけ!納得できない気持ちを整理したいです |ママスタ (mamasta.jp)
- 「愛玩子」と「搾取子」をつくるゆがんだ親の心理兄弟格差をつけることに何の意味があるのか|東洋経済(toyokeizai.net)