毒親にはさまざまな種類があります。
心と体を深く傷つけ、強いトラウマを与えた親たち。自分の欲望を優先し、最低限の世話すらしない者。ステレオタイプの毒親とは違うと信じ込む「スマホネグレクト」の親たち。子どものレールを決め、教育虐待を正当化する親たち。アルコール依存や執着が激しい親もいます。
私は20年の経験の中で、多くのクライアントと接してきました。彼らの多くは毒親による苦しみを抱えています。毒親が60歳前後になると、今さら親子関係を修復しようとすることが多いですが、これにはさまざまな理由が考えられます。
子どもたちに残された選択肢は、毒親に関わり続けるか、関係を断つかの二択です。しかし、どちらを選んでも覚悟が必要です。
毒親の老後にかかわることで起こりうること
- 経済的負担
- 介護介助負担
- 洗脳と支配の再燃
- 加害者家族になる可能性
経済的負担
毒親の老後を支えるには、以下のようなコストがかかる可能性があります。
- 住居費
賃貸の場合:都市部で月額5万~15万円
持ち家の場合:年間10万~30万円の固定資産税や維持費 - 食費
一人暮らしで月額3万~5万円、年間36万~60万円 - 公共料金
月額1万~2万円、年間12万~24万円 - 通信費
月額5000円~1万円、年間6万~12万円 - 健康保険および医療費
健康保険料:年間20万~40万円(所得により異なる)
医療費(自己負担分):年間10万~20万円 - 交通費
都市部で公共交通機関を利用する場合、月額5000円~1万円、年間6万~12万円 - 交際費・娯楽費
月額1万~3万円、年間12万~36万円 - その他雑費
月額1万~2万円、年間12万~24万円
合計すると、最低限の生活には年間136万円~212万円、平均的な生活には年間200万円~350万円かかることがあります。
介護介助の負担
認知症の有無により介護の内容は異なります。
認知症がない場合
- 健康管理(定期健康診断、服薬管理)
- 日常生活のサポート(家事手伝い、移動サポート、財務管理)
- 社会的活動の支援(趣味の支援、コミュニケーション促進)
- 緊急時の対応(緊急キット準備、連絡先の確認)
認知症がある場合
- 日常生活の見守りや家事代行
- スケジュール管理と緊急時の対応
- 介護保険サービスやレスパイトケアの利用
介護費用
最小で年間12万円から、特別養護老人ホームなどでは年間600万円かかることがあります。
洗脳と支配の再燃
毒親が近づいてくる理由には、孤独感、経済的困窮、介護の必要性などが挙げられます。これにより、子どもに対する支配や依存が再燃する可能性があります。
加害者家族になる可能性
高齢者の交通事故や犯罪行為に巻き込まれ、子どもが加害者家族となるリスクも考えられます。
子どもに対する影響と対応
かつて虐待を受けた子どもにとって、毒親が再び近づいてくることは感情的に複雑で、トラウマを再び呼び起こす可能性があります。このような状況に対処するためには、以下の点が重要です。
境界線の設定
自分の感情と健康を守るために、明確な境界線を設定することが重要です。
専門家のサポート
カウンセリングやセラピーを受けることで、感情的なサポートを得ることができます。
自己ケア
自分の健康と幸福を最優先に考えることが重要です。毒親との関係を無理に修復しようとする必要はありません。
親が近づいてくる理由がどんなものであれ、最終的には子ども自身の選択と感情が最も重要です。
無理に関係を修復する必要はなく、自分自身の幸せを最優先に考えるべきです。
加害者家族になる可能性の詳細
- 高齢者ドライバーによる事故
- 年金生活が困難な場合、窃盗や詐欺などの犯罪に手を染めることも
- 「アルツハイマー型型認知症」や精神疾患による判断力や感情失禁による暴力的な行動や犯罪行為
- 「前頭側頭型認知症」による万引き、窃盗、性犯罪、交通ルール違反、暴行暴言障害
今回のまとめ
これからも毒親に関わっていくか、捨てるか。
選択肢は2つしかないと書いた理由がすこしは伝わったでしょうか。
愛情をかけて育ててもらった親でさえ、高齢者、後期高齢者になれば子どもにかかる負担はとてつもなく大きくなり、親を大切に思う気持ちと介護のつらさを両天秤にかけることが難しいと言われるほどです。
毒親に苦しめられてきた――現在も苦しんでいる――クライアントと日々接しています。
自身が60歳前後になって老後が不安になるからなのか、どの面下げてというか…今さら近づいてくる親ってとってーも多いです。
毒親が60歳だとしたら、子ども達は30代から40代が多いのかな。キャリアアップに頑張っている人たちもいれば、自らも親となり日夜子育てに奮闘している人たちもいる。
親から強制的にうえつけられたトラウマが根強く残り、人や社会にうまく溶け込めずに今なおもがいている子どもたちもいます。