【第1話】免許返納の壁はこんなにあった! 〜高齢者ドライバー問題と父の場合〜
「親の免許返納」に悩む40〜50代が増えている
近年、高齢者ドライバーによる重大事故がたびたび報道されるようになりました。警察庁の統計(※)によれば、75歳以上のドライバーが起こす事故の割合は年々増加傾向にあります。特にアクセルとブレーキの踏み間違いは、高齢ドライバー特有の事故原因として注目されています。こうした社会情勢の中で、
- 「親に免許返納を勧めたいが、どう説得すればいいのか?」
- 「車がないと生活できないと言うけれど、本当に返納は難しいのか?」
と、頭を悩ませる40〜50代は少なくありません。
(※)統計データ例:2022年時点で75歳以上の高齢運転者が加害となる交通死亡事故の割合は全体の約15〜16%という調査結果も。数字は地域や年度によって異なるため、最新情報は各自治体や警察庁の公開データを参照。
私の父の場合:「免許返納バトル」

私は医療・心療分野で20年勤めている者ですが、数年前に他界した父との「免許返納」にまつわる壮絶なやりとりを経験しました。
父は当時70代前半でしたが、すでにアクセル・ブレーキの踏み間違いを数度起こしており――敷地内のため大事には至らなかった――周囲が見ても「もうダメだ、免許を取り上げないと危ない」と感じる状態。それでも本人に自覚がない(認めない)ため、姉弟3人で説得と話し合いを重ねることに…。
当時の私たちが直面した“7つの壁”
- 親の拒否反応
- 「まだ運転できる」「大丈夫だ」の一点張り。自尊心が傷つくのを恐れて、返納そのものを認めようとしない。
- 感情的な衝突
- 「年寄り扱いするな!」「信じてないのか!」など、怒りや悲しみが爆発。家族の絆を傷つけかねない。
- 代替手段の不足
- 「車を手放すと生活が不便になる」という不安。公共交通が乏しい地域だとタクシーやバスだけでは足りない場合も多い。
- 「事故は他人事」という意識
- 同年代の高齢者事故を見聞きしても「自分は違う」「運動神経はまだ若い」と過信しがち。
- 親の老いを真正面から認めづらい子ども側の葛藤
- 親が衰えていく現実を受け止めきれず、説得のタイミングを先延ばしにしてしまう。
- 兄弟姉妹間で意見が割れる
- 「すぐ返納させたい派」と「いやまだ大丈夫派」に分かれ、調整が難航する。
- 運転が生活習慣の一部
- 「何十年と続けてきた日常を変えるなんて無理」という強い抵抗感。
このように、免許返納は親・子ども双方にとって非常にハードルが高い。実際、私も姉弟3人は意見が一致していましたけれど、当事者である父がこの様でしたので…ストレスがピークに達するまで何度も衝突を繰り返しました。
わずか半年? けれど地獄の半年だった

父が実際に免許を返納したのは、最初の話し合いから約6か月後のこと。
- 「たかが半年」と思うかもしれませんが、この間、怒り、涙、衝突、不信、逆ギレと、感情がめまぐるしくぶつかり合う日々でした。
次回予告:第2話では、世間一般で「効果的」とされる説得方法を試みたのに、私の父にはまったく通用しなかった話。そして、実際に父を少しずつ動かしていった“具体的な対策”について、他のご家族の体験談も交えながらお伝えします。