「もし、うまくいかなかったらどうしよう…」
「あの時、あんなこと言わなければよかったかな…」
「なんだか分からないけど、胸がザワザワして眠れない…」
心配事や後悔がグルグルと回り続けて、心が重たくなってしまうこと、ありませんか? 自分でも「考えすぎ」「そんなはずない」「気にしすぎ」と思っている一方で「でも…」「だけど…」と打ち消してしまう。
なぜ私たちはつい考えすぎてしまうのでしょう?
どうして、こんなに「考えすぎちゃう」んだろう?

まず、知っておいてほしいのは「考えすぎてしまう」のは人間として自然なことであるということです。
私たちの脳は遠い昔から、危険から身を守るために「もしかしたら悪いことが起こるかも?」とアンテナを張るようにできています。だから、必要以上に未来の心配をしてしまったり、過去の失敗を思い出してしまったりすることがあるんですね。
それに加えて、これまでの経験や育ってきた環境の中で、
- つい物事を悪い方へ考えてしまうクセ(マイナス思考)
- 「完璧じゃなきゃダメ」「失敗は許されない」と感じてしまうクセ(白黒思考)
などが身についていると、心配事がさらに大きく膨らんで感じられたり、なかなか頭から離れなくなったりすることがあります。
少し大げさに思えるかもしれないけど「考えすぎちゃう」のは、あなたが一生懸命に生きている証拠でもあります。でも、それがつらいなら、少しだけ考え方や対処法を変えてみるのもいいかもしれません。
不安な時のお守り言葉「心配事の9割は起こらない」
「心配事の9割は、実際には起こらない」
こんな言葉を聞いたことがありますか? これは「必要以上に心配すること(杞憂)」がいかに多いかを表した言葉です。
実は、これは単なる言い伝えや気休めではなく、実際の研究に裏付けされています。
アメリカのペンシルバニア州立大学で2020年に行われたとある研究――その研究では、参加者の人たちに心に浮かんだ心配事をしばらく記録してもらい、それがその後、実際に起こったかどうかを追跡調査したところ、なんと心配していたことの正確には91.4%は、実際には起こらなかったという結果が出たのです。
「そんなこと言われても、今、現実に不安なんだもん…」
そうですよね。頭で分かっていても、心のザワザワは簡単には消えないものです。研究結果を知っても、すぐに不安がゼロになるわけではありませんよね。
でもこの言葉は、不安でいっぱいになった時の「お守り」として、心の片隅に置いておくと、少しだけあなたを助けてくれるかもしれません。
本当に心配事の9割は起こらないものなのか?

- 想像上の不安が多い
私たちが心配していることの多くは、「もし〇〇だったら…」という想像上の出来事です。未来は誰にも分かりませんし、想像通りになることはほとんどありません。 - 意外となんとかなってきた
「仮にもし問題が起こったとしても、大人になった私にはどうにかできる力が備わっている」「助けてくれる人たちも周りにいるんじゃ…」と思い返してみてください。
これまでにも、たくさんのピンチがあって、そのたびになんとか乗り越えてきたはずです。自分の力や周囲の人たちを信じてみることも大切です。
「心配事の9割は、実際には起こらない」――この言葉を「心配しすぎなくていい」「気にしすぎ!」という風に受け取るのではなく「意外と大丈夫かもしれない✨」「なにかあっても皆が守ってくれる✨」「〇〇さんに心配事を話してみようかな?」と、『想像上の不安』を客観的に見るためのきっかけとして使ってみてください。
今すぐできる「不安ループ」から抜け出すためのステップ
グルグルと考えすぎてしまう思考から抜け出すために、今日から試せる簡単なステップをいくつか紹介します。全部やろうとしなくて大丈夫。「これならできそうかも」と思うものから、気軽に試してみてくださいね。
ステップ1:心の中を「見える化」してみよう
モヤモヤした不安は、頭の中にあるとどんどん膨らみがち。一度、紙に書き出して「見える化」してみましょう。
- 何を心配していますか? (具体的に書き出す)
- それが本当に起こる可能性は、何%くらい? (冷静に考えてみる)
- もし本当に起きたら、どう対処できそうですか? (小さなことでもOK)
書き出すだけで、「なんだ、意外と大したことないかも」「こうすればいいか」と、少し冷静になれることがありますよ。
ステップ2:深呼吸で「今ここ」に意識を戻す

不安は未来へ、後悔は過去へ意識が飛んでいる時に強くなります。そんな時は、意識を「今ここ」に戻す深呼吸をしてみましょう。
- 楽な姿勢で座るか、横になる。
- ゆっくりと鼻から息を吸い込み、お腹を膨らませる。(4秒くらい)
- 少し息を止め(1~2秒)、
- ゆっくりと口から息を吐き出す。お腹をへこませながら。(6~8秒くらい)
これを数回繰り返すだけで、心が少し落ち着いてくるのを感じられるはずです。
ステップ3:視点を変える「セルフクエスチョン」
一つの考えにとらわれている時に、違う角度から物事を見るセルフクエスチョンは、心を楽にする助けになります。
- 「この心配事は、1年後も同じように悩んでいるかな?」
- 「もし、大好きな親友が同じことで悩んでいたら、私はなんて声をかけるかな?」
- 「この状況の中で、ほんの少しでも『良かったこと』や『学べること』はないかな?」
自分に優しく問いかけてみてくださいね。
ステップ4:小さな「できた!」を集めて自信を育てる
「どうせ私なんて…」と感じてしまう時は、自分の「できた!」に目を向ける練習をしましょう。
- 「今日は朝、ちゃんと起きられた」
- 「苦手な人に挨拶できた」
- 「深呼吸を1回やってみた」
どんなに小さなことでも構いません。一日の終わりに、3つ「できたこと」を見つけて、自分をたくさん褒めてあげてください。「私、結構やってるじゃん!」と思えると、少しずつ自信が育っていきますよ。
「私も、少し楽になれたよ」先輩たちのストーリー
あなたと同じように「考えすぎてしまう」ことで悩んでいたけれど、少しずつ楽になっていった方々のストーリーをご紹介しますね。
誰もがはじめから完璧にできたわけではありません。小さな一歩を、少しずつ重ねていっただけなのです。
まとめ「心配事や悪い予感の91.4%は、実際には起こらない」
「心配事や悪い予感の91.4%は、実際には起こらない」
この事実を情報として頭では理解できても、完璧に不安を消し去る特効薬にはならないかもしれません。なぜなら「残りの8.6%の不安は当たるってことでしょう?」と、マイナス思考や白黒思考・ネガティブ思考が『考え方のクセ』として染みついている人はどうしてもこのように考えてしまうからです。
その考え方は長いあいだ、鎧となり傷つかないための予防線としてあなたを守ってくれていたのでしょう。ですが、その鎧は長い歳月のなかで重くなってしまい、あなたが前に進もうとするのを邪魔しているのかもしれません。
本コラムでお伝えした4つのステップ――「見える化」「深呼吸」「セルフクエスチョン」「できたこと探し」――は、あなたが身にまとってきた鎧に比べれば小さな小さな道具です。
すぐには役に立たないかもしれません。
だけど、あなたをいつかきっと『身軽にします』。
あなたの毎日が昨日より少しだけ穏やかで、軽やかになることを、心から願っています。