「あんたなんか産まなきゃよかった」
毒親が使いがちな「あんたなんか産まなきゃよかった」というセリフは、子どもの存在そのものを否定する、非常に破壊的な言葉です。
この言葉を言われると、子どもは「自分は愛されるべき存在ではない」と感じ、自己肯定感を著しく損なう恐れがあります。親の一時的な感情やストレスが原因で出ることもありますが、その影響は子どもにとって非常に深刻です。
1. 自分に自信がないから
親が自分に自信がなかったり、人生の選択に後悔していると、イライラや不安を子どもにぶつけてしまうことがあります。親自身の問題が原因で、子どもに悪く言ってしまうのです。
2. ストレスで限界だから
仕事や家事、いろいろな問題が重なって、親がストレスでいっぱいいっぱいになると、感情をコントロールできなくなり、思ってもいないひどいことを言ってしまうことがあります。
3. 子どもに理想を押しつけているから
「こうなってほしい」という理想と、現実の子どもの違いにガッカリして、失望からひどい言葉を口にしてしまうことがあります。でもそれは、親の勝手な期待が原因です。
4. 昔の傷が癒えていないから
親が子どもの頃に辛い経験をしていると、その気持ちを子どもに無意識にぶつけてしまうことがあります。親もまだ自分の過去の問題に向き合えていないのです。
5. 言うことを聞かせたいから、深く考えずに言ってしまった
子どもが親の言うことを聞かないと親はイライラして、または「しつけ」のつもりで、深く考えずに言ってしまうことがあります。
一方で、良い親は似たようなシチュエーションでも、自分の感情を抑えるようにします。
良い親の場合は?
「良い親」とされる対応には、感情が爆発しそうになったときに距離を置いたり、時間を置いたり、冷静になるための一時的な離脱が含まれると思います。
その理由
- 感情的な言葉を防ぐ
感情が高ぶった状態では、思ってもいないひどい言葉が出てしまうことがあります。距離や時間を取ることで、そのリスクを回避できます。 - 冷静な判断ができるようになる
少し時間を置くだけで、親自身も「何を本当に伝えたいのか」を整理する余裕が生まれます。 - 子どもの心を守る
ひどい言葉は一度出てしまうと子どもの心に深い傷を残します。距離を置くことで、その傷を防げます。 - 親子関係の修復がしやすい
感情的にぶつかるよりも、落ち着いた状態で再び話し合う方が、信頼関係を保ちやすくなります。
具体的な方法
- その場から一時的に離れる
「ちょっと自分を落ち着かせたいから、一旦部屋を出るね。」
→ 離れることで自分の気持ちをクールダウンできます。 - 深呼吸や短時間のリフレッシュ
「5分だけ時間をちょうだい。そのあとゆっくり話そう。」
→ 短時間でも感情を整理する余裕が生まれます。 - 状況を切り替える
「今日はここまでにして、明日改めて話そう。」
→ 対話のタイミングをずらすことで、お互いが冷静になる時間を持てます。
「あんたなんか産まなきゃよかった」を解説
このセリフは子どもにとっては深い傷や忘れられない記憶を残します。
毒親はこうした言葉を繰り返し使い、子どもを支配したり罪悪感を植え付けたりすることがあります。一方で、良い親は自分の感情に気づき、子どもの価値を否定するような言葉を避け、対話や愛情を通じて信頼関係を修復します。
親も完璧ではありません。大切なのは一度発した言葉を振り返り、謝罪や対話を通じてより良い親子関係を築こうとする姿勢です。
親御さんへ
子育ては思うようにいかないことばかり、その連続です。
私自身は息子や娘に「産まなきゃよかった」と言ったことはないけれど、お腹の中に戻れ! と思ったことは数知れず。危なげなよちよち歩き時代を懐かしみ、怒りの感情を抑えた回数は天井知らず。
「産まなければよかった」と言われた記憶が、ささくれのようにずっと引っかかっていてご両親に素直に甘えることができなかったというクライアントが、
時を経て勇気を出して「どうしてあの時、産まなければよかったなんて言ったの? あの発言は本気だったの?」とたずねたところ「そんなこと、言ったっけ?」と返されたそうです。
「距離を置く」「時間を置く」「いったん離れる」は、子どもへの最大の配慮であると同時に、親自身の感情のコントロールにも役立つ大切なスキルとも言えるでしょう。