ASD積極奇異型の子育てはお子さんがつぶれやすい
ASD(自閉スペクトラム症)の「積極奇異型」は、他者との関わりに非常に積極的ですが、その一方で自分の意見や世界観に固執しやすく、他者の意見や新しい経験を受け入れるのが難しい傾向があります。
このタイプの母親は「自分の意見は絶対に正しい」と信じているところがあり、他者に対して譲歩したり、意見を柔軟に変えたりすることが少ないです。また、未経験のことや自分の知らない領域に対して「そんなのは信用できない」「うまくいくはずがない」といった強い否定的な見解を持ちがちです。
また、独特なコミュニケーションスタイルや支配的な態度が、子どもに精神的な負担をかけることが多くあります。
以下に、ASD積極奇異型の母親が抱えやすい子育ての問題点や、子どもに与える影響について10つの傾向を挙げます。いずれか1つがあてはまる場合、複数にあてはまる場合など、個人差があります。
また、これらはASD積極奇異型の特性に課題があり、個人の性格や努力不足などではないという点を考慮しお読みいただければと思います。
1. 一方的なコミュニケーション
積極奇異型の母親は、自分の意見や興味関心を一方的に話し続け、子どもの反応や気持ちにあまり注意を払わないことが多いです。
また、母親は自分の考えが常に正しいと信じているため、子どもの意見を尊重したり、話し合ったりすることが難しく、結果的にコミュニケーションが一方通行になりやすいです。
〔子どもに与える負担や苦しさ〕
- 子どもが自分の意見を表現する機会が少なくなり、自己表現に自信を失う。
- 母親の一方的な話に対し、子どもが意見を持っていても無視され、孤独感を感じる。
2. 社会的ルールの理解不足
母親が社会的なルールや対人スキルを十分に理解していない場合、子どももその影響を受け、社会的な場面で適応するのが難しくなることがあります。
さらに、母親が自分のやり方や考え方が正しいと信じて譲らないため、社会のルールや慣習に適応することが遅れることもあります。
〔子どもに与える負担や苦しさ〕
- 社会的なルールを学ぶ機会が減り、友人や教師とのコミュニケーションが難しくなる。
- 母親の社会的な誤解や思い込みや決めつけ、その他トラブルが、子どもに精神的なプレッシャーを非常に強く与える
3. 境界線があいまいになる
母親の過干渉や過剰な執着により、子どものパーソナルスペースが尊重されないことがあります。
特に、母親が自分の考えを絶対視しているため、子どもの意見や自主性が無視されることが多く、自立が阻害されます。
〔子どもに与える負担や苦しさ〕
- 自分の意見が母親に受け入れられず、常に母親のやり方に従わざるを得ないことから、自由が奪われたように感じる。
- 母親の過干渉によって、子どもがプライバシーを侵害され、ストレスを非常に強く感じる。
4. 子どもに自分の価値観を強要する
母親が自分の好きなことや興味のある活動を、子どもにも強く押し付けることがあります。
たとえば、母親が自分の趣味や話題――音楽やスポーツ、特定のテレビ番組など――を「これが良いからやりなさい」と子どもに無理強いすることがあります。
また、子どもが疲れていても、母親が自分の価値観で多くの課外活動や習い事に参加させ続け、休むことを許さない場合もあります。さらに、母親が興味を持つ情報を子どもに延々と話し続け、子どもがその情報を処理できずに負担を感じることもあります。
〔子どもに与える負担や苦しさ〕
- 母親のペースに無理に合わせなければならず、心身ともに疲れ果てる。
- 自分のペースで物事を進めることができず、常に圧倒される感覚に陥る。
5. 子どもの気持ちを読み取るのが難しい
ASD積極奇異型の母親は、他者の感情やニーズを読み取るのが苦手であり、子どもがどのように感じているかを適切に把握できないことがあります。このため子どもは十分なサポートや助けを得られず、不安や孤独を感じることが多くなります。
〔子どもに与える負担や苦しさ〕
- 自分がどんなに苦しんでいても、母親からの理解や共感が得られないため、孤独感が強まる。
- 母親が自分のニーズに気づかないため、常に不安定な状態が続く。
6. 周囲との摩擦が生じやすい
母親が社会的なルールを理解できない場合、学校や地域社会で摩擦が生じることがあります。
母親が自分の意見を絶対視し、自己の常識を世間の常識と思い込んでいる場合、他者との協調を考えないことが原因で周囲とのトラブルが増えます。
またそれにより他者への悪口や愚痴がマシンガントークとともに増えるため、子どもはその影響をもろに受け、過度なストレスを感じることが多くなります。
〔子どもに与える負担や苦しさ〕
- 母親の対人トラブルに巻き込まれ、子どもが友人や教師との関係を築くのが難しくなる。
- 周囲との摩擦が続くことで、子どもが精神的に疲れ、居心地の悪さを感じる。
7. 自立の模索
積極奇異型の母親に育てられた場合、子どもは自立心を持つのが難しくなると言われることが多いですが、逆に強い自立心を持つ場合もあります。
過干渉や母親の支配的な態度から逃れたいという気持ちが強くなることで、子どもは早くから家出を繰り返したり自立を模索することがあります。
〔子どもに与える負担や苦しさ〕
- 強い自立心を持ちながらも、母親の干渉がそれを阻害し、自由を求める苦しみが増す。
- 自分の意思を貫きたいが、母親からの圧力によってそれができないストレスを抱える。
8. 感覚過敏が育児に影響を与える
母親が感覚過敏を持っている場合、日常の中で音や光に過剰に反応し、子育ての場で不安定な状況が生まれることがあります。母親自身がその刺激に敏感であるため、家庭内でのストレスが高まりやすく、子どももその影響を受けることがあります。
〔子どもに与える負担や苦しさ〕
- 母親の感覚過敏によって、子どもが常に母親に気を遣わなければならず、リラックスできる環境が失われる。
- 母親のストレスが家庭内の雰囲気を悪化させ、子どもが安心して過ごせなくなる。
9. 支援を求めるのが難しい
ASD積極奇異型の母親は、自己認識が不足していることが少なくないため、自分が困っていることや支援が必要であることに気づきにくい傾向があります。
さらに、自分の意見ややり方が正しいと信じているため、他者からの助けを求めることに抵抗を感じることも多いです。また、過去に支援を求めて失敗した経験がある場合、その記憶がトラウマとなり、支援を拒むようになります。
〔子どもに与える負担や苦しさ〕
- 家庭内での問題が解決されず、子どもが常にストレスを感じる状況が続く。
- 助けを求めたいが誰にどのように相談すれば良いかわからず、問題が放置される。
10. 愛情表現の歪み
ASD積極奇異型の母親の愛情は、過剰な干渉や過度な執着という形で表現されることが多い。
子どもは「愛されているわけではなく支配・束縛をうけている」「愛されているかもしれないけど苦しい」「母親の所有物として扱われている」などと感じることがあります。
母親は自分のやり方が常に正しいと信じているため、愛情を伝える方法もそのひとつの形に固執し、結果的に子どもに大きな精神的負担を与えることがあります。
〔子どもに与える負担や苦しさ〕
- 母親の過干渉や執着によって、自分の自由が奪われ、ストレスを感じる。
- 愛されていることはわかっていても、その愛情が重く感じ、息苦しさを抱える。
- 子どもが逃げ腰になっていると暴言や見下し「どうせうまくいくわけがない」などの酷い言葉をぶつけて、自身の愛情が子どもに伝わらないことを激しくなじる。
ASD積極奇異型の母に育てられたお子さん達の多くが――
- 「自分の母親は毒親だった」
- 「大嫌い」
- 「人の心を平気で踏みにじる」
- 「自分が世界でいちばん正しいと勘違いしている」
- 「ひとの意見は絶対に聞かないから話し合うことができない」
- 「二度と関わりたくない」
- 「老後の面倒は絶対にみない」
などとそれはもう…散々な言われようです。今回の記事はそれに応えるかたちで仕上げましたが、ASD積極奇異型の父親も似たようなものです。
お子さんからの嫌われっぷりは数ある毒親の中でも群を抜いており、さすがに同情をしてしまいたくなるほどです。※コミュニケーションや愛情の表現が際立って個性的であるため、愛情が1/3も伝わっていないまま経年していることが多い
ASDの積極奇異型の傾向が見られる40代後半から50代後半くらいの女性が、カウンセリング予約を申し込まれたり、初診をうけられることは多いです。相談内容の大半が「家族からの孤立」「地域や仲間内からの孤立」「子ども達と疎遠で孤独」です。