ASD積極奇異型の母の子育てが子どもをつらくさせる理由

子育てSOS

「お母さんの言うことが絶対だった」「いつも一方的に話されて、僕の気持ちは聞いてもらえなかった」「同じ部屋にお母さんといるだけで、なんだかずっと息苦しい…」。

もしあなたが、少し風変わりなお母さんとの関係でこのように感じてきたのなら、まず一言言わせてください。本当におつかれさま。すごくしんどかったでしょう――。


この記事は、ASDの積極奇異型という特性傾向のあるお母さんに育てられたことで、強い自己否定感を植えつけられてしまったり、「認めてほしい」という欲求に潰されそうになったり、自分を好きなのに嫌い、人からの評価がとても気になる、自信なんてないのにあるように振舞ってしまったり…様々な生きづらさを感じているあなたに向けて書いています。

心と体の不調に詳しいお節介カウンセラーの私が、なぜそのような苦しみが生まれるのか、そして、どうすれば少しでも楽になり、あなたが自分らしい人生を歩めるようになるのか。そのヒントをお伝えします。

1.ASD積極奇異型とは? その特徴・特性

まず、ASD積極奇異型の特性について理解を深めましょう。ASDは、脳機能の発達に関する生まれつきの特性で、病気ではありません。その中でも積極奇異型と呼ばれるタイプには、以下のような特徴が見られることがあります。

発達障害はASDやADHD、その他の二次障害が併発していることが多いため、100%当てはまることはないと思いますので、当てはまる部分だけを拾って読み進めてくださいね!

  • コミュニケーションの独特さ
    • 一方的に話し続ける 
      自分の興味があることについて、相手の反応をあまり気にせず話し続けることがあります。
    • 距離感が近い/独特 
      人との物理的・心理的な距離感が掴みにくく、馴れ馴れしく感じられたり、逆に相手を戸惑わせるような関わり方をすることがあります。
    • 言葉の裏や場の空気を読むのが苦手 
      言葉を文字通り受け取ったり、比喩や冗談が通じにくかったり、その場の雰囲気にそぐわない発言をしてしまうことがあります。
  • 強いこだわり・限定的な興味関心
    特定の物事やルールに強いこだわりを持ち、興味の範囲が狭いことがあります。自分の関心事を周りにも強く勧める傾向が見られます。自分が絶対に正しいというような言い方をしてしまうことも。
  • 感覚の違い
    音や光、匂い、味、触覚などに非常に敏感だったり、逆に鈍感だったりすることがあります。
  • 思ったことをすぐ口にする
    悪気なく、相手が傷つく可能性のあることや、社会的には不適切とされることを言ってしまうことがあります。

大切なのは、これらの特性は本人の性格や努力不足の問題ではなく、脳の働きの違いによるものだということです。
「わざとやっている」「意地悪で言っている」わけではないケースが多いのです。と、わかっていても…子どもは酷く傷つきますよね…

ASD積極奇異型の母親の子育てスタイル

〔1〕で挙げた特性のある女性が母親になった場合、子育てにおいて以下のような傾向が見られることがあります。これはあくまで傾向であり、すべてのお母さんに当てはまるわけではありません。

  • 過干渉・過剰なコントロール
    自分のルールや価値観、興味関心を子どもに強く押し付け、「こうあるべき」という考えで子どもの行動を細かく管理しようとすることがあります。子どもの自律性を尊重するのが難しい場合があります。
  • 共感の難しさ
    子どもの気持ちや状況を正確に理解し、寄り添うことが苦手な場合があります。「どうしてそんなことで泣くの?」「だからママの言う通りにすればよかったでしょ!」といった言葉で、子どもの感情を否定してしまうことも。
  • 感情の波
    自分の思い通りにならないと急に怒ったり、逆に深く落ち込んだりと、感情の起伏が大きく見えることがあります。子どもはその不安定さに振り回され、安心感を得にくいかもしれません。
  • 一方的なコミュニケーション
    子どもの話を聞くよりも、自分の話したいことを優先したり、アドバイスのつもりが一方的な指示や押しつけになりがちです。
  • 「普通」へのこだわり
    世間体や「普通」とされることから外れることを極端に恐れ、子どもにもそれを強いることがあります。一方で母親独自のルールや価値観を子どもに強要してしまうことも多い。

お母さん自身も、悪気なく「子どものため」と思って行動していることが多いのですが、その独特の関わり方が、知らず知らずのうちに子どもを深く傷つけてしまうことが多いのです。

3.その影響を受けた子どもの心と生きづらさ

積極奇異型のお母さんの独特な子育て環境で育った子どもは、心の中に様々な葛藤や生きづらさを抱えやすくなります。

  • 低い自己肯定感・強い自己否定感
    「お母さんの期待に応えられない自分はダメだ」「私がおかしいんだ」「僕が間違っているんだ」と思い込み、自分に自信が持てなくなります。
  • 親の顔色をうかがう
    いつ怒られるか、母がいつまた機嫌が悪くなるか分からず、常に親の顔色をうかがい、自分の本音を言えなくなります。
  • 完璧主義・失敗への恐れ
    親の「こうあるべき」という基準を満たそうとするあまり、完璧でないといけない、失敗は許されない、という考えにとらわれやすくなります。
  • 対人関係の悩み
    • 境界線が引けない
      他者との適切な距離感が分からず、相手に侵入されたり、逆に自分が踏み込みすぎたりします。
    • 人を信じられない/依存してしまう
      安心できる関係性を築くのが難しく、人を心から信頼できなかったり、逆に特定の人に強く依存してしまったりします。
  • 慢性的な不安感・抑うつ気分
    将来への漠然とした不安や、理由の分からない悲しみ、気分の落ち込みを常に抱えていることがあります。
  • アダルトチルドレン(AC)の傾向
    子ども時代に親との関係で負った心の傷が、大人になってからの生きづらさ(人間関係・仕事・恋愛など)に影響を与えている状態です。
  • メンタル疾患のリスク
    上記のような生きづらさが続くことで、うつ病・不安障害・摂食障害・複雑性PTSDなどを発症するリスクが高まる可能性も指摘されています。

最もつらいのは、「自分が悪い」「自分のせいだ」「自分の性格に問題がある」と思い込んでしまうことです。特殊な環境で、自分を守るために身につけた考え方や行動パターンなのですから、決してあなたに非があるわけではないのですよ✨

4.ASD積極奇異型の母親との「心の距離」のおき方

お母さんとの関係で苦しんでいるなら、まずは「心の距離」を適切にとることが大切です。これは、お母さんを拒絶することではなく、あなた自身の心を守るための境界線を引くことです。

  • 物理的な距離
    可能であれば、一人暮らしをするなどして物理的な距離を置くことは、心理的な距離を保つ助けになります。連絡頻度を減らすことも有効です。
  • 心理的な境界線を引く
    • 「お母さんの課題」と「自分の課題」を分ける
      お母さんの機嫌や言動はお母さんの特性や問題であり、あなたが責任を負う必要はありません。「それはお母さんの問題だ」と心の中で線引きしましょう。大人は「自分の機嫌を自分でとる」ものです。それができない人のためにあなたが頑張る必要はないのです。
    • 感情に巻き込まれない
      お母さんが感情的になっても、それに引きずられないように意識しましょう。「また特性が出ているな」「またひとりで騒いでるな」と『他人事として客観的』に捉える練習が必要です。
    • 「ノー」と言う練習
      お母さんからの無理な要求や、お母さんが自分の生活や価値観に踏み込んできた! と感じたなら、勇気を出して「できない」「やめてほしい」と伝える練習をしましょう。最初は難しいですが、少しずつで大丈夫です。
  • 情報コントロール
    お母さんの言動に振り回されやすいと感じるなら、お母さんと繋がっているSNSを一時的でもいいのでブロックしたり、着信拒否設定をしたり。目にも耳にも入れたくない情報は「拒否」してもいいいんですよ✨
  • 期待しすぎない
    お母さんに「変わってほしい」「理解してほしい」と過度に期待すると、裏切られた時のダメージが大きくなります。「お母さんはこういう人なんだ」と、ある程度割り切ることもあなた自身を守るためには必要かもしれません。諦めることと、自分を大切にすることは両立できます。

5.ASD積極奇異型の母親との付き合い方(年代別ヒント)

母親との関係性は、あなたのライフステージによっても変化します。ここでは、20代~40代の年代別に、付き合い方のヒントを考えてみましょう。

  • 【20代】自立と境界線設定の時期
    • 最優先事項
      精神的・経済的な自立を目指し、親からの健全な分離を進めること。
    • 付き合い方のポイント
      • 物理的な距離を意識的に作る(一人暮らしなど)。
      • 連絡頻度や会う頻度を自分でコントロールする。
      • 親の価値観ではなく、自分の価値観で物事を判断する練習をする。
      • 嫌なことは「嫌だ」と伝える小さな練習を始める。
      • もし経済的な援助を受けている場合、それが過剰な干渉に繋がっていないか見直す。

就職や進学、一人暮らしなど、親元から離れる機会があれば、できるだけ多様な環境に触れて「母親だけがすべてではない」と実感することが大切です。

  • 【30代】自分の家庭と親とのバランス
    • 最優先事項
      結婚や出産など、自分の家庭を築く場合、その新しい家族との関係性をなにより優先し守ること。
    • 付き合い方のポイント
      • 自分のパートナーや子どもとの関係を優先する姿勢を明確にする。
      • 孫への関わり方について、過干渉にならないよう事前にルールを決めておく(例:アポなし訪問は断る、育児方針への口出しは控えてもらうなど)。
      • 境界線をより明確に伝え、守ってもらうよう交渉する。パートナーにも協力してもらう。
      • 親の老いや健康問題が見え始める時期でもあるため、冷静に対応できるよう情報収集や心の準備を少しずつ始める(ただし、無理に背負わない)。

結婚や子育て、キャリアアップなど、人生において様々な変化が起きる年代です。母親との関係だけに時間や体力を使いきれない状況も増えます。上手に距離を取りつつ、自分の生活を最優先して良いのだと自分に許可を与えることが重要。

  • 【40代】親の老いと自分の人生の安定
    • 最優先事項
      自分の人生の充実と安定を保ちつつ、親との関係性を見直す時期。
    • 付き合い方のポイント
      • 親の介護問題が現実味を帯びてくる可能性。一人で抱え込まず、きょうだいや親戚、地域包括支援センターなどの公的機関に相談する。
      • 親との関係で、どうしても変えられない部分があることを受け入れ、「できる範囲での関わり」に留める勇気を持つ(諦めや許し)。
      • これまでの人生を振り返り、親との関係が自分の人生に与えた影響を客観的に見つめ直す。必要であればカウンセリングなどを活用する。
      • 自分の時間やエネルギーを、自分のため、大切な人のために使うことを優先する。

親が高齢になり始めると、今度は健康や介護の問題が出てきます。これまで自分が苦しんだ関係性をそのままに、介護まで背負い込むと、さらに大きなストレスを感じやすいかもしれません。

どの年代においても共通して大切なのは、「自分の心と体を守ることを最優先する」という視点です。 無理をしてお母さんに合わせる必要はありません。あなたには、あなた自身の人生を幸せに生きる権利があります。

6.あなたはあなたの人生を生きていい

ASD積極奇異型の特性を持つお母さんとの関係で、あなたはこれまで、たくさんの混乱や寂しさ、息苦しさを感じてきたでしょう。たくさん頑張って、たくさん耐えてきたことと思います。

幼少期から「価値観の押し付け」や「一方的なコミュニケーション」にさらされ、自己否定感や不安の強い性格になってしまったかたも少なくないのではないでしょうか。大人になってからも、その影響は親子関係のみならず、人間関係全般やメンタル面に波及しがちです。

でも、どうか覚えていてください。あなたが感じてきた苦しみや生きづらさは、決してあなたのせいではありません。 特殊な環境の中で、自分を守るために必死だった結果なのです。

お母さんの特性を理解することは、お母さんを許すこととは必ずしもイコールではありません。大切なのは、まずあなた自身が、これまでの経験で負った傷を癒し「自分は自分のままでいいんだ」と受け入れられるようになることです。

適切な距離を取り、健全な境界線を引くことで、お母さんとの関係性が少しずつ変化していく可能性もあります。しかし、それ以上に重要なのは、あなたが自分自身を大切にし、自分の感情に正直になり、心から自分が望む人生を歩んでいくことです。

もし一人で抱えきれないと感じたら、信頼できる友人やパートナー、あるいは私たちのような専門家(医師やカウンセラーや心理士など)に相談してください。あなたは一人ではありません。過去の経験を乗り越え、あなたらしい幸せを見つける力は、あなたの中に必ずあります✨

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