発達障害の中でも最近では「ADHD」や「ASD/アスペルガー」といった名称が広く知られるようになりました。しかし、それぞれの特性についての理解はまだ十分ではなく、診断名はADHDでも、実際の生きづらさは「ASD/アスペルガー」に近いと感じる人もいます。
その理由は、ADHDやASDは合併している、その割合に差があることが多いためです。
今回は、ASDやADHDの特性を持つ方にとって難しいとされる「バウンダリー=自分と他人との境界線」や「会話距離」について説明します。
又、適切な距離の取り方や他人との距離感についても例を挙げて解説します。
関係性と距離感
日本では相手との関係性に応じて『言葉遣いや接し方』『連絡頻度』『呼び方』『肉体的距離』などを変えることが求められます。特に日本社会では「距離感」を大切にする文化が根強く、関係性によって適切な距離を保つことが非常に重要です。
- 関係性に適した言葉遣い
- 関係性に適した接し方
- 関係性に適した連絡頻度
- 連絡をしても許される時間帯
- 関係性に適した肉体的距離
- 関係性に適した呼び方
相手との関係性によりこれらは変えたほうが良いとされる。とくに日本ではこれが非常に重要視されています。
関係性と距離感の具体例
ライフステージとは? 年代別の生活状況のこと。以下は一例であり個人差による
20代: 就職/転職/結婚/出産
30代: 仕事の安定/子育て/家の購入/キャリアの転換期
40代: キャリアのピーク/子どもの成長(進学など)/介護の始まり/健康への意識
50代: 子どもの自立/親の介護/定年準備/自身の健康問題やライフスタイルの見直し
バウンダリー【境界線】が取れない場合の評価
境界線や距離感が正しく取れない場合、以下のような評価を受けることがあります。
- 距離感がおかしい、馴れ馴れしい
- よそよそしい、冷たい
- 敬語が使えない、無礼
特に日本では、バウンダリー/自他との間にある境界線を重視する文化があるため、こうした評価を避けるためにも、適切な距離感を持つことが重要です。
発達障害の特性と距離感の難しさ
日本人は特に「距離感」を越えて接されたり、逆に「適した距離以上を空けて」接されることに嫌悪感やさみしさを覚える人が非常に多いです。
発達障害の特性があるばあい「相手と自分の境界線を見極め、適切な距離を正しく見定める」ところに難しさをおぼえる人も多いでしょう。
過度な緊張やプレッシャーがあると、意識しないうちに相手との距離感が崩れ、無意識にタメグチを使ってしまうこともあります。
しかし、何度か対面を重ねたり文章でのやり取りでは適切な言葉遣いができることが多いです。距離感の問題は、悪意や奇抜さからではなく、特性によるものだと理解してもらうことが大切です。
後編では、さらに具体的な対策を紹介します。