心療内科に勤続して20年になります。ママ達から質問されることの多い「子どもにスマートフォンを持たせる年齢」や「注意点」についてまとめました。
子どもにスマホを持たせるタイミングのポイント
⦁ 子どもの責任感と自律性:スマホを適切に使える責任感が身についているかどうかを確認します。子どもが日常生活でルールを守り、時間管理ができるようになってからが理想です。
⦁ コミュニケーションの必要性:子どもが習い事や友達と遊ぶ際など、連絡手段としてスマホが必要になる場合もあります。これが多くなる高学年(10歳〜12歳頃)がひとつの目安かもしれません。
⦁ 安全とルールの理解: インターネットやSNSのリスクを理解し、オンラインでの行動が自己管理できる年齢が重要です。例えばネットの危険性について話し合い、アプリや時間制限を設けるなど、ルールを決めてから持たせるのが良いでしょう。
⦁ 機能を制限したスマホ:まずはフィルタリングや制限ができるキッズ用スマホ等を持たせ、段階的にスマホの利用範囲を広げるのもひとつの方法です。
年齢の目安
周囲の話を聞くと…10歳〜12歳頃(小学校高学年)に、上記の条件が整えばスマホを持たせることを前向きにお考えになる親御さん多いようです。
ただし、最初は通話やメッセージのみの機能に限定するなど、様子を見ながら段階的に使わせるのが安心です。もし迷っているなら、まずは次のステップを試してみるのもひとつの方法です。
親の不安を払しょくするためのステップ
ステップ1: 様子見の期間を設ける
スマホを完全に持たせる前に、タブレットや家庭用の共有デバイスを使ってみて、子どもの使用態度を観察することができます。ルールを守っているか、適切に利用できているかを確認できます。
ステップ2: コミュニケーションを重視する
子どもと話し合い、スマホを持つことの利点と危険性についてしっかり話すことが重要です。これにより、子どもがスマホの責任を自覚し、自律的に使える準備ができているかどうかもわかります。
ステップ3: 親の安心感を優先
最初は位置情報の共有や時間制限、フィルタリングを行いながら、親が安心できる範囲でスマホを使わせるのも良い方法です。
最終的には子どもの性格や生活環境に合わせて、柔軟に決めていくのが一番かもしれません。焦らず、少しずつ、子どもと一緒に考えながら進めていくのがいいかと思います。
ネットリテラシーの移り変わりの速さ
1. 一緒に学ぶ姿勢を持つ
親自身がネットリテラシーを持っていない場合でも、子どもと一緒に学ぶことができます。
例えば、親子で一緒にネットリテラシーに関する資料や動画を見たり、本を読んだりして学習することで、自然と会話を通して子どもに教えることができます。
- 具体的なリソース: 子ども向けのインターネット安全教室やオンラインコース(YouTubeなどにも無料の教育コンテンツが豊富にあります)を利用する。
- 学びながら教える: 親がわからないことを正直に認め、一緒に調べる姿勢を見せることで、子どもに探求心やリテラシーを養わせることができます。
2. 基本的なルールを作る
技術的な細かい知識がなくても、インターネットの使用に関する基本ルールを設定することは大切です。以下のルールを取り入れてみてください。
- 個人情報(住所、電話番号、学校名など)は絶対に公開しない。
- 知らない人からのメッセージやリンクは開かない。
- 利用時間を決め、時間制限を設ける(例:1日1時間)。
- 親が定期的に使用状況を確認できるようにする。
3. フィルタリングや時間管理ツールの活用
親がすべてを把握するのが難しい場合、フィルタリングアプリや時間管理ツールを活用するのも良い方法です。これにより、子どもが不適切なコンテンツにアクセスしないようにしたり、使用時間を制限することができます。
- 例: Google Family Link、iOSのスクリーンタイム機能、WindowsやMacのペアレンタルコントロール機能など。
4. オープンなコミュニケーションを大切にする
ネットリテラシーの中でも重要なのは、子どもが何か疑問や困ったことがあったときに親に相談できる環境を作ることです。親がネットに詳しくなくても、子どもが困ったときに気軽に話せる関係があれば、トラブルに巻き込まれた場合でも早期に対応できます。
- 「何かあったら教えてね」という姿勢を常に持ち、安心感を与えることが大切です。
5. 外部リソースに頼る
もし親自身が深く学ぶ時間がない場合、学校や専門家のサポートを活用するのも良い手段です。
多くの学校では、ネットの安全利用についての授業やセミナーが提供されています。また、地域の図書館や教育機関でインターネット安全講座が開催されていることもあります。
6. フィードバックを大切にする
ネットの使い方について、子どもが日常でどんな問題や疑問を持っているか定期的に話題にしましょう。子どもがどんなサイトを見ているのか、どんな問題に遭遇したか、親がわかる範囲で助けることができます。ネット上の出来事を日常の話題にし、リテラシーを一緒に育てる機会を増やすことが重要です。
親世代がネットリテラシーに詳しくなくても、徐々に子どもと一緒に学びながら、責任を持って安全にインターネットを使う方法を教えることが可能です。まずはできるところから始めて、少しずつリテラシーを高めていくことが大切です。
〔わが家の場合〕子どもにスマートフォンを何歳から持たせるのが正解?
うちの3人の子どもにスマホを買いあたえた年齢は「14歳/中2」でした。これは夫と話し合って決めたもので、3人全員、14歳になった誕生日にショップへ行き購入しました。
子どもたちにも彼らなりの「社会」があります。
学校じゃなく電話でもなく、わざわざ文字にしてやり取りするコミュニケーションに「特別な共感」「特別な時間の共有」といった意味を持たせ、親密になりたい気持ちもわかります。
自分が中学生の頃を振り返れば、13~14歳頃からやはり「直筆の手紙」のやり取りを友人たちとして楽しんでいたものです。
子どもたちにスマホを持たせたのは、物事の分別が付き始める14歳ですが実際にはその3年前からmacと、夫のお古のiPadを「リビング」において、親の監視下でそれらを使用しクラスメート達と時間外の交流をして良いことにしていました。
家族で決めた10ルール
〔大前提〕親は子どもたちのLINEのやり取りを週に1度、抜き打ちチェックする権利を持つ→これは子どもたちに事前に告知~承諾を得ておく。
- LINEのアカウントは私のものを共有で使う
- 親が知らない友だちとのLINEの交換~やり取りは禁止
- 親が知らない友だちとLINEをしたければ、家に招き親に紹介すること
- macやiPadの自室持ち込みは絶対に禁止、リビングでの使用のみ許可
- macやiPadをリビング以外に持ち込んだ場合、1か月間の使用禁止
- macやiPadの独占による兄妹ゲンカをしたら、1週間の使用禁止
- 成績が下がったら1か月間の使用禁止
- 宿題を先に済ませてからLINEをすること~21時まで
- 2~8を1か月守れたら、親はスタンプを2つプレゼントする
- 2~8を3か月守れたら、お父さんの部屋のパソコンを使って「LINE1日フリーパス~好きなだけLINEをしてもいい権利」を獲得できる
親に都合のいいルールが8割ですが、子どもからの不平はほとんどありませんでした。
※内心どう思っていたかはわからないけど(笑)
というのも夫の知り合いのプログラマーさんにお願いをして、息子や娘とその友人たちに向けて「ITリテラシー勉強会」を3回に分けて開催してもらったからなのです。
ITリテラシー勉強会の高い効果
今では小学校や中学校でネットリテラシーを教える時間を設けているところもあるようですが、当時はまだまだ。
親の言うことは聞き入れづらくても、親以外の大人の話は――しかも興味のある分野に関連することなら――あんがい耳を立ててくれるもので、わかってんだかわかってないんだか、一応真面目な顔をして学んでくれているようでした。
親も一緒に勉強することで、共通の危機感を持てたり、子どもたちの間で流行っている(チャット交流付きの)ゲームアプリ等を知ることができたり。
オンラインで子どもたちに繋がる可能性のある『匿名の存在』に正しく警戒を持つことができたり、ITリテラシー勉強会はやってよかったと心から思っています。