愛情に見える隠れ毒親の真綿で締め上げるような毒
カウンセリングをしていると、このような相談を受けることが時おりあります。
「私の親は毒親じゃないと思うんです。でも、ずっと息苦しくて、生きづらいんです」
肉体的・精神的な虐待など明確な暴力や暴言、わかりやすい酷さがないと「毒親ではない」と考えられがちです。しかし、じっくり話を聞いてみると、実は小さな支配や過保護・過世話が重なり、知らず知らずのうちに子どもの自立や自由を奪っているケースが多いのです。
今回なぜこのテーマでコラムを書こうと思ったかというと、こうした現実に直面している人は多いのに、毒親の定義はあいまいで線引きが広く知られていない部分があると感じたからです。
「親は愛情を注いでくれていた、それ自体は間違いない。でも…」と、長く続くもやもや感や、どこかすっきりしない生きづらさの原因に気づかない方もいます。
ここで伝えたいのは、たとえ「毒親」とは一見認識しづらい親でも、心の奥底に影響を与えている可能性があるということ。
隠れ毒親の「小さな支配・過保護・過世話・過執着」

- 一般的には「愛情深い良い親」に見えがち
- 親自身は「子どものため」「正しいこと」をしていると信じきっている
- 「親に申し訳ない」と罪悪感を抱くなど、息苦しさを感じる
- 「親の期待に応えられない私はダメなのかも」と自分を責めてしまう
- 友だちや周囲に話しても「愛されてる証拠」「贅沢な悩み」と言われがちそのため自分の苦しみをわかってもらえず、ひとりで抱え込むことに
- 親の愛情が、実は細かい指示や決めつけという形で表れ、自分らしさや「自分で選択してもいい自由」を奪っている
隠れ毒親チェックリスト〔あなたが子どものばあい〕
- 「あなたのため」と言われるけれど…
- 選択肢や進路を、親の理想や価値観で決められがち。「本当にこれが自分の意思?」と疑問に思うことが時々ある
- 細かすぎる干渉や管理をされる
- 小さな失敗や違反・ささやかな反抗(意思表示)を「あなたらしくない」「そんなのはあなたの意思じゃない」「誰かになにか言われたの?」などと斜め上の方向から諭される
- 自分の感情や意見を否定される
- 「そんなのは違うでしょ」「わがまま言わないの」などと、自分の気持ちを受けいれてもらえたことはほぼなく、親が正しいような気にさせられてきた
- 自立しようとしても引き止められる
- 「危ないから」「心配だから」という理由で、やりたいことを止められ、いつまでも親の支配下にいるような感覚になる
- 罪悪感を感じさせられる言葉が多い
- 「あなたのためにやっているんだから」「親の言うことを聞いておけば間違いないんだから」などと言われ、常に罪悪感をおぼえさせられたり、感謝を求められている気になることがある
- 表面的には愛されているのに、心が苦しい
- 親の言動は一見「愛情」。けれど、大切な自分らしさを封印させられているように感じる。
- 「あなたのため」と言いながら矛盾を感じる
- 親は自分を思ってくれているはず。だけど、ふとした時に「これって親のためなのでは?」という思いがこみ上げる機会が増えてきた
もし、いくつか当てはまると感じたら、一度その「息苦しさ」や「違和感」にまっすぐに目を向けてください。
あれだけしてもらったのに、いい学校に入れてもらったのに、高い学費を払ってもらったのに「こんなことを思う自分はどうかしてる…」と自分を責める前に、信頼できる友人や専門家に話して、第三者の冷静な意見を聞いてみるのもひとつの方法です。
自分の気持ちを言葉にするだけでも、新しい気づきが得られるかもしれません。そんな時はひとりで抱え込まず、誰かに相談する勇気を持ってほしいと思います。
隠れ毒親チェックリスト〔あなたが親のばあい〕
- 「これは子どものため」と思い込みすぎていませんか?
- 子どもの進路や趣味、交友関係などを「大人の視点」で先回りして決めていませんか?
- 子どもの意思や気持ちよりも、自分の理想や価値観を優先していませんか?
- 細かい干渉や管理をしていませんか?
- 子どもの生活習慣やスケジュールに口を出しすぎていませんか?
- 小さなミスでも厳しく叱り、「完璧であるべき」と過度なプレッシャーを与えていませんか?
- 子どもの意見をしっかり聞けていますか?
- 子どもの「こんなことをやってみたい」という意見を、即座に「ダメ」「無理」「あなたには向いていない」などと否定していませんか?
- 「そんなの違うでしょ」「あなたらしくない」と一蹴していないか、思い返してみましょう。
- 「危険だから」「失敗したら大変」と過剰に心配しすぎていませんか?
- 心配のあまり、子どもの自立や挑戦のチャンスを奪っていませんか?
- 「あなたのため」と言いながら、本当は自分(親)の不安を解消したいだけになっていないか、振り返ってみましょう。
- 罪悪感を与える言い方をしていませんか?
- 「せっかくお母さんがこんなに頑張っているのに…」などと、子どもを責めるような言葉を口にしていませんか?
- 「お父さんに感謝しなさい」「親なんだから/子どもなんだから、当たり前でしょう」などの押しつけが日常化していませんか?
- 子どもの「心の自由」を尊重できていますか?
- 一見「愛情」に見える言動が、結果的に子どもの自由や自分らしさを奪っていないか、考えてみてください。
- 子どもが本音を言いづらくなっている雰囲気を作っていませんか?
- 「あなたのため」と言いながら、実際は自分たちの都合を優先していませんか?
- 「子どもが困ると大変だから」と言いつつ、実は自分たちが安心したい、楽をしたいという思いがありませんか?
- 実際の子どもの気持ちや表情を無視して、自分の意見を押し付けていないか振り返りましょう。
もし、いくつか当てはまるかも…と感じたら、まずは「わが子がずっと言い出せなかった本当の気持ち」を知りたいという姿勢で向き合うことをおすすめします。子どもの話を丁寧に聞き、意見を尊重しながらコミュニケーションをとることで、より健全な親子関係を築くきっかけになるはずです。
もしかすると親御さん自身の子ども時代に「親からの不干渉がさみしかった」「もっと親に心配されたり意見をしてもらいたかった」という思いがあり、その反動があるかもしれません。もしくは、親御さん自身は子どものために『絶対に正しい道を用意しただけ』で、なにが子どもに負担になっているのか皆目見当もつかないかもしれません。
そこには親御さんの揺るぎない愛情がおありだろうと思います。
しかし1点だけ欠けているものがあります。
お子さんはそれを本当に望んでいましたか?
お子さんの本当の声を、聞かれたことはありますか?