前回のコラムでは、「友達がいないことは本当に問題なのか?」をテーマに、友達を必要とするタイプと、ひとりでいる方が楽だと感じるタイプについて考察しました。
特に、ひとりでいることが必ずしも寂しさを意味しないことや、友達がいないことに対する周囲からのプレッシャーについて触れました。
今回は、ひとりが楽だと感じる人々の特徴を5つに分け、それぞれのタイプに応じた対応方法を探りながら、「うちの子、友達ができないみたいで…」と悩まれている親御さんがお子さんをサポートする際に、どのようにアプローチすべきかも詳しくまとめています。
「ひとりが楽」という5つのタイプの特徴
オンラインの「ネット友達」がちょうど良いタイプ
このタイプの人々は、対面でのコミュニケーションに苦手意識がある反面、オンラインでのやりとりには安心感を抱きます。
オンラインでは物理的な距離を保ちながらも気軽に会話ができるため、関係が深まりすぎず、適度な距離感を維持できることが魅力です。
このような人々にとって、対面での圧力や緊張感が少ないネット上の交流は心地よい選択肢となります。
年に1回会う程度の関係が理想なタイプ
このタイプの人々は、定期的な会話や集まりを必要としません。
たまに近況を確認したり、無理なく時間を共有することに価値を感じています。一年に一度会う程度の関係であっても、それが心地よいバランスであると感じられるのです。
普段は自分の時間を大切にしながらも、時々誰かと会うことで心のリフレッシュができる関係が理想的です。
定期的に少しだけ交流するのが望ましいタイプ
このタイプの人々は、友達と深く関わることよりも、数ヶ月に一度、短時間だけ会話を交わす程度の関係を好みます。
彼らにとっては、限られた時間でお互いの近況を話し合うことで満足感を得ることができます。
それ以上の交流はストレスや負担に感じることが多いため、このような程よい距離感を維持することで、心地よい人間関係が築けます。
友達がいたら良いとは思うけれど…タイプ
このタイプの人々は、友達がいること自体は理想として考えているものの、過去の経験や傷ついたことがトラウマとなり、深い人間関係に慎重になっています。
彼らにとっては、友人との関係で再び傷つくよりも、一人でいる方が安全で楽だと感じられます。
本当に「ひとり」でいたい「選択ぼっち」タイプ
このタイプは、他人との関わりを最小限にし、自分自身の空間や時間を最も重要視します。
他者と一緒にいることでエネルギーを消耗し、精神的な疲労感を感じやすいのです。そのため、誰かと一緒にいるよりも、ひとりで過ごすことに強い満足感を抱きます。
「子どもに友達ができない」という親の悩み
SNSでの繋がりは、親世代にとっては「薄く儚いもの」「本当の友達ではない」と思われるかもしれません。しかし、4年にも渡ったコロナ禍を経て「友達との距離感」は我々親世代のそれとはまるでかわりました。
悪い意味で用いられることの多い「ネット上の匿名性」ですが、素性を明かさないからこそ本音で悩みを打ち明けられたり、本心で答えることができたりという良い点もあります。
そういった意味では、ネット上の友達は今や学校内での友達よりも「濃い」とも言えるのです。
「うちの子、友達がいないんです…」という相談を親御さんから受けることは少なくありませんが、その子が「学校内での友達を欲していない」タイプなのか、それとも「友達を作りたいけど作れない」タイプなのかを見極めることが、適切な対処につながります。
さらに、その子が「ひとりでいるのが楽」だと感じているのであれば、無理に友達を作ることを強制するのではなく、その子のペースに合わせたサポートが重要だと私は考えます。
1.「友達がいない」場合の原因探し
友達がいないことが問題とされがちですが、まずはその原因を探ることが大切です。
- 子どもはどのような場面で孤立しているのか?
- 学校だけでなく、家庭内での対話や交流が足りているか?
- 子ども自身は孤立を気にしているのか?
この段階で、友達がいないことが問題なのか、それとも本人が孤立を気にしていないのかが見えてきます。
2.「友達が不要」なタイプを理解する
子ども自身が「友達が欲しくない」タイプである場合、親がその状態を理解し、無理に友達作りを強制しないことが大切です。ここでは、以下の点を深掘りできます。
- 子どもがひとりでいることに満足しているのか?
- 無理に友達を作らせることで逆にストレスを与えていないか?
- ひとりでいる時間を大切にするためのサポート(例えば、趣味や活動を見つける)についても言及できます。
3.「友達がほしいけど、できない」場合のサポート方法
友達を作りたいけれどどうしてもうまくいかない子どもに対しては、親や大人が適切なサポートをすることが重要です。
- 社交スキルを身につけるためのアドバイスや練習
- 親が子どもの会話や遊びに介入して助ける場面
- 子どもが安心して友達関係を築ける場所(習い事や地域の活動)を提供すること
このタイプの子どもには、自尊心を保つための支援が特に重要です。
4.友達ができても「何らかの理由」で離れてしまう場合の原因分析
友達はできるが長続きしない場合は、どんな理由があるのかを探ることが必要です。子ども自身の性格や行動に原因があることもあれば、周囲の環境や友達との相性の問題も考えられます。
- コミュニケーションのズレや誤解が原因となっているのか?
- 感情表現や自己主張が過度でないか?
- 親がどのようにフォローアップすれば、友達関係が安定するか?
5.「ひとりでいたい」タイプの場合
ひとりでいることを好む子どもにはその状態を肯定的に捉え、無理に集団に入れようとすることを避けた方が良いと思います。「ひとりでいたい」タイプは多くの利点にも恵まれています。
自立心が育つ
ひとりで遊べる子どもは、自分の時間をどう使うかを考え、選択する力が自然と養われます。
他者に依存せず自己決定できる力を持つことで、将来的にも自立した行動が取れるようになります。
創造力・想像力が豊かになる
ひとりで過ごす時間は、想像力や創造力を育む大切な機会です。
友達や親がいない場面で自分で遊びを考えたり、空想の世界に没頭することで、独自の視点や新しいアイデアを生み出す力が強くなります。
自己肯定感が高まる
ひとりで遊ぶことに慣れている子どもは、自分自身の力で満足感を得る経験を重ねることができ、自己肯定感を育むことができます。
他人に依存せず自分の時間を楽しめるという事実が、自分に対する信頼感を強化します。
問題解決能力が向上する
ひとりで遊ぶとき、誰かに助けを求めることが難しい場合もあります。
そのため、自分で問題を見つけて解決する力が自然と鍛えられます。困難に直面したときに冷静に対処する力が身につき、成長に役立ちます。
人間関係に依存しすぎない
ひとりで楽しめる子どもは、他者との関わりが少なくても大きなストレスを感じにくくなります。
これは友達関係やグループに執着しすぎることなく、バランスの取れた人間関係を築く力につながります。
これにより、他者との関係においても過剰なプレッシャーを感じることなく、リラックスした状態でコミュニケーションがとれるようになります。
集中力や忍耐力が育まれる
ひとりで過ごす時間を有効に活用する子どもは、自然と集中力や忍耐力が鍛えられます。
ひとりの時間を有意義に使うためには、何かに取り組み、それを持続する力が必要です。これらは学習や課題解決においても重要なスキルです。
さいごに~「選択ぼっち」からのメッセージ
前回のコラムにも書きましたが、私は昔も今も「ひとりでいたいタイプ」です。しかしながら高校時代には3人の親友に恵まれ、大学~大学院時代には切磋琢磨する仲間もできました。
わたしはこの3つにあてはまります
- 基本的にはひとりでいたいタイプ
- 年に1回会う程度の関係が理想なタイプ
- 定期的に少しだけ交流するのが望ましいタイプ
子どもの頃から今なお、基本的には「ひとりでいたいタイプ」ではありますので、密ではありませんが他者との交流も適宜にとれる大人になりました。
最大の利点としては、私自身と似たようなタイプの友人たちとつかず離れずの程よい距離感で揉めることなく、長い付き合いができています。
不安をあおるような周囲や社会の声があったりして、子育てに一生懸命な親御さんたちはつい心配になってしまうことがあると思います。
「友達がほしいのにできない」「友達になったのに長続きしない」といった課題のあるケースを除けば、本来は「友達」って本人にとって必要な時に必要なタイミングでできるものです。だからあまり考え過ぎなくて大丈夫ですよ♪