発達特性による片付けの困難:5つのタイプと解決のヒント
片付けが苦手な方を5つのタイプに分類し、それぞれの特徴と解決策を考えてみましょう。
片付けたいけど困っているタイプ
- 手を付けられないタイプ:どこから始めればいいのか分からない
- 完璧主義タイプ:始めたら徹底的にやらないと気が済まない
- 継続できないタイプ:色んな片づけ術を試すが、片付いた状態を保てない
片付けたくないタイプ
- 諦めタイプ:誰も訪問してこないし、片付ける必要性を感じない
- 自分を受け入れているタイプ:散らかっている状態が自分らしいと感じている
今回のコラムは、特に「片付けたいけどできない」方々に焦点を当てています。
私の身近にはADHDやASDの特性を持つ友人が多く、片付けに悩む人も少なくありません。
例えば、親友はどこから片付ければいいのか分からず完璧主義で手が止まってしまうし、別の友人は片付け術をいくつも試すけれど効果が続かない。また、裕福な知人はプロのハウスクリーニングを利用しているため、片付けを他人に任せています。
しかし、そういった特別なケースを除けば、多くの人は「片付けたい」と思いつつも、適切な方法を見つけられず立ち止まっています。
片付け相談の事例:どこから始める?
ある日、ADHDの特性を持つクライアントから「通話だけで片付けを手伝ってほしい」という相談が寄せられました。彼女は片付けのスタート地点が分からず、いくつもの片付け術を試しても続けられないという悩みを抱えていました。
「お部屋の写真は見せたくない」「ビデオ通話は嫌です」という彼女の要望に応えるため、まずはヒアリングを重ねて彼女の部屋の間取り図を頭の中に描きました。
そして、片付けの基本である「動線の把握」と「余計なアクションを減らす」ことから取り組みました。
「床が見えない状態なんだよね?」
「はい」
「歩きにくい?」
「はい(笑)」
「じゃあとりあえず床を出して歩けるようにしようか」
「お願いします」
床を占拠している物をざっくりグループ分けして把握する
「床を占拠している物ってなにがあるの? 共通点あるでしょ?」
「趣味のもの…」「服…」「書類」
「仕事の書類とか…」「ほかには…カバン」「文房具はいっぱい…」
「床に?」
「はい…」
「踏んだら痛そだなー笑」
「(笑)」
ADHD特性による片付け中断のサイン
発達障害の特性を持つ人に何かを教えるときは、常にその人の頭の中の「残量」を確認しながら進めることが大切です。彼女の場合、「うん」「はい」としか言わなくなったら、もう脳に疲労がいっぱいで、それ以上は無理だと判断します。
どんな人でも、得意ではないことに挑戦するときは、緊張して頭や体が固まってしまいます。特にADHDの特性を持つ人にとっては、途中で止める勇気を持つことがサポーターに求められます。
「今日は終わり!よく頑張りました!」この一言が、次につながる大きな力となります。