はじめに
こんにちは。【前編】では、毒親育ちの30代~50代の皆さんが、今、親とどんな関係にあり、それぞれどんな気持ち(安心・不安・罪悪感など)を抱えているのかを見てきました。
この【後編】ではさらに未来のこと…「これから親とどう関わっていきたいか」「親が歳をとって介護が必要になったら、どうすればいいんだろう?」といった、多くの人が向き合うことになるであろうテーマについて、様々な考え方をランキング形式でご紹介します。
そして最後に――これまでたくさんのつらい気持ちを抱えてきたあなたが、これからの人生で自分の心を守り、大切にしていくためのヒントをお伝えできればと思います。
これから親とどうしたい? ~毒親育ちみんなの考えランキング~
親との将来の関係や、介護について、どのような考え方があるのでしょうか? よく聞かれる意見や選択肢を多い順に5つにまとめました。
【1位】もう関わりたくない(自分の人生を優先したい) タップで詳細
最も多く聞かれるのは、「これ以上、親のことで心をすり減らしたくない」「自分の人生や、今の家族との時間を大切にしたい」という考え方です。完全に縁を切って、親の老後も基本的には関わらない、と決めている人たちです。
背景には「関わると、また昔のように心が不安定になってしまう」「自分の幸せを守るためには、距離が必要」といった切実な理由があります。
中には、親からの干渉を避けるために連絡先や住所を知らせないようにしたり、法的な扶養義務について調べたりする人もいます。自分の人生を守るための、強い意志の表れと言えるかもしれません。
【2位】公的なサービスや第三者に任せたい(頼る選択) タップで詳細
次に多いのが、「自分で直接、親の世話をするのは精神的にも難しいけれど、完全に放置するわけにも…」と考え、公的なサービスや専門家、代行サービスなどに頼るという選択です。
具体的には、「介護が必要になったら地域包括支援センター(※)に相談して施設を探す」「役所の手続きや金銭的な管理を専門家に依頼する」といった方法です。
【前編】でも触れたように、最近は親との連絡や手続き、場合によっては亡くなった後のことまで代行してくれる民間のサービスも増えています。
「自分にできる最低限の責任は果たしたいが、直接的な関わりは避けたい」「お金で解決できる部分は専門家に任せて、自分の心の平穏を保ちたい」という、現実的な判断が背景にあります。
(※地域包括支援センター:高齢者の総合相談窓口)
【3位】距離は保ちつつ、必要最低限のことはする(割り切りと責任感) タップで詳細
普段は意識的に距離を置いているけれど、「もし親が本当に困っていたら、情報提供や手続きの手伝いくらいは…」と考え、限定的な関わりを持つというスタンスです。
例えば、「介護施設の情報収集や見学の手配だけはする」「経済的な支援は検討するが、同居や直接的な介護はしない」といった形です。
本心では関わりたくない気持ちが強くても、「人として最低限のことはすべきでは?」「後々、親族間で問題になるのは避けたい」といった責任感や、世間体を気にする気持ちから、完全に放置することにはためらいを感じる人が選択することがあります。
自分の中で、複雑な感情と折り合いをつけようとしている状態です。
【4位】どうしたらいいか決められない(迷いと葛藤) タップで詳細
「親を許せない気持ちと、見捨てることへの罪悪感の間で揺れている」「どうするのが自分にとって一番いいのか分からない」と、心が定まらずに悩み続けている人も少なくありません。
子どもの頃からの経験によって、「親を見捨てる=悪いこと」という考えが深く刷り込まれている場合、頭では「離れたい」と思っていても、感情がついていかず、行動に移せないことがあります。
「親が弱ってきたら気持ちが変わるかもしれない」「いや、また傷つけられるだけだ」…そんな風に気持ちが揺れ動き、答えを出せないでいる人もいます。
専門家は「罪悪感を感じるのは自然なこと。すぐに決められない自分を責めないで」と伝えています。
時間をかけて、自分の心と向き合っていくプロセスの中にいると言えます。
【5位】できれば和解し、世話も考えたい(少数派の選択) タップで詳細
数は少ないですが、「できることなら、親との関係を修復したい」「許すことは難しくても、最期は自分が面倒を見たい」と考える人もいます。
「親からひどいことをされたけれど、もう昔のようには怒りを感じない」「自分の人生も落ち着いてきたので、向き合ってもいいかな」といった、時間経過による心境の変化がある場合もあります。
ただし、実際に関わってみて「やっぱり無理だった」と再び距離を取る人も少なくありません。
この選択は慎重に、自分の心の声をよく聞きながら決める必要があるでしょう。
毒親との将来の関わり診断
以下の質問に答えて、今後の親御さんとの関わり方を簡単に診断しましょう。
全て回答すると、あなたに最適なアドバイスが表示されます。
自分の心と自分の家族を守るために
ここまでお読みになり「私はこの考えに近いかな」「今の自分はどうしたらいいか分からない…」など、様々なことを感じられたかもしれませんね。
私が一番伝えたいことは「どの選択が正しくて、どれが間違っているということは絶対にない」ということです。
最終的になにを選択をしても、迷ったり、悩んだり、罪悪感がスニーカーの底に残る小さな石のように存在を主張することがあるでしょう。
でもそれは人間として当たり前の感情です。子どもの頃から多く傷ついてきたにも関わらず、自分なりの正解を出そうと懸命に生きてきたあなたが、憎しみだけで突っ走らない強さと、血の通った心を自らで育んだ証なのですから。
だからこそ、何よりもあなた自身の心とからだと、ご自身が慈しむご家族を守ることを最優先に考えてくださいね✨
・無理はしない
「~ねばならない」「~すべき」という考えに、自分を縛りつけないこと!
・自分を最優先
自分の人生を危機にさらさず、穏やかに、幸せに生きる権利があることを常に自分に優しく言い聞かせてください
・一人で抱え込まない
つらい気持ちや複雑な思いを、たった一人で抱え続けるのは本当にしんどいことです。信頼できる友人やパートナー、あるいは守秘義務のある専門家(カウンセラー、地域の相談員など)に話を聞いてもらうだけでも、心が少し軽くなることがあります。
また、話すことで道筋や「手順」がはっきりと分かることも多いです。
まとめ -毒親育ち30~50代の本音-

毒親との関係や、毒親の老後と将来について考えるとき、誰にとっても100点が出せる決まった「正解」や「理想の形」はありません。
他の人がどうしているかを知ることは、選択肢を広げる参考にはなりますが、最終的に大切なのは、あなたが「これなら、今の自分にとって一番しっくりくる」「これなら、なんとかやっていける」と思える距離感や関わり方を見つけていくことです。
それを見つけるまでには、時間がかかるかもしれません。迷ったり、立ち止まったりすることもあるでしょう。でも、それでいいのです。多くの人が、あなたと同じように様々な葛藤を抱えながら、悩み、考え、自分なりの道を探しています。
私もそうでした。
数年前に、🔎自動車運転免許返納のドタバタ劇を繰り広げた父が亡くなり、最終的に母と絶縁に至るまで、何十回、何百回…何千回と自問自答を繰り返し、役所や地域包括支援センターに相談にあがったり、周囲にヒアリングを求めました。
そうして出した絶縁という結論は、私にやっと「穏やかな心模様」をもたらしました。しかしやはり、母の日が近づいたり、母の誕生日が近くなると、ほんのわずかですが切なくなる胸もあります。
「愛されている手応えをふつうに感じられる娘を一度でいいから体験してみたかったな」くらいのことは思います。しかし人は誰でも、その瞬間瞬間でチクりと胸を痛めながら生きています。それは慢心せずに、優しさや思いやりを忘れないために必要な痛みです。
私自身の経験談や20年の臨床現場から学んだことしか話したり、アドバイスができませんが、私でよければ胸のうちを聞かせてください。
このコラムが、ほんの少しでもお役に立てたなら、心から嬉しく思います。
✍オンラインカウンセリング「あたらしい今日」主宰・カウンセラー真由
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