毒親にはさまざまな種類があります。
- 心と体を深く傷つけ、強いトラウマを与えた親たち。
- 自分の欲望を優先し、最低限の世話すらしない親たち。
- 虐待の意識を持たない「スマホネグレクト」な親たち。
- 子どもから自主性を奪い否定を続け、教育虐待を正当化する親たち。
- アルコール依存・ギャンブル依存・過執着・共依存な親たち。
- ほか
20年の臨床経験のなかで数多くの「毒親被害」の患者さんと接してきましたが、どうやら老いた毒親は古今東西「都合よく過去をなかったものにできたり」「今さら親子関係を修復ができると信じていたり」「心の底から、子どもや親の面倒をみるのが当たり前」と主張することが非常に多いようです。
前回の記事ではその理由について簡単に触れました。
子どもたちに残された選択肢は、単純に分けて2つ。
老いた毒親に関わるか。老いた毒親と関係を断つか。
しかし、どちらを選んでも覚悟が必要です。まずは前者「老いた毒親と関わることで実際に起こりうる出来事とその費用」についてを挙げていきます。
毒親の老後にかかわることで起こりうること

- 経済的負担
- 介護介助負担
- 洗脳と支配の再燃
- 加害者家族になる可能性
経済的負担
毒親の老後を支えるには、以下のようなコストがかかる可能性があります。
- 住居費
賃貸の場合:都市部で月額5万~15万円
持ち家の場合:年間10万~30万円の固定資産税や維持費 - 食費
一人暮らしで月額3万~5万円、年間36万~60万円 - 公共料金
月額1万~2万円、年間12万~24万円 - 通信費
月額5000円~1万円、年間6万~12万円 - 健康保険および医療費
健康保険料:年間20万~40万円(所得により異なる)
医療費(自己負担分):年間10万~20万円 - 交通費
都市部で公共交通機関を利用する場合、月額5000円~1万円、年間6万~12万円 - 交際費・娯楽費
月額1万~3万円、年間12万~36万円 - その他雑費
月額1万~2万円、年間12万~24万円

合計すると、最低限の生活には年間136万円~212万円、平均的な生活には年間200万円~350万円かかることがあります。
介護介助の負担
認知症の有無により介護の内容は異なります。

認知症がない場合
- 健康管理
・定期健康診断の予約や服薬管理 - 日常生活のサポート
・家事(掃除、洗濯、料理など)の手伝い
・移動サポート(買い物や病院への付き添い、運転の手配など)
・財務管理(銀行手続きや年金の管理) - 社会的活動の支援
・趣味やレクリエーションの継続支援
・家族・友人との交流の促進 - 緊急時の対応
・緊急キットの準備や連絡先の確認など
【認知症がある場合】
- 健康管理
・認知症専門医による定期診察と服薬管理(認知症治療薬など)
※認知症の場合も基本的な健康管理は必要ですが、認知症特有の症状への対応が加わります。 - 日常生活の見守りとサポート
・常時の見守り(転倒防止、徘徊対策など)
・家事の代行や全面的なサポート
・スケジュール管理(1日の流れをシンプルに整理するなど) - コミュニケーションや心理的サポート
・シンプルな言葉遣いやゆっくり話す工夫、安心感の提供 - 緊急時の対応
・徘徊防止策(GPSデバイスなどの導入)や、強固な緊急連絡体制の整備 - 介護サービスの活用
・介護保険サービス(訪問介護、デイサービスなど)
・レスパイトケア(介護者の休息を確保するための短期入所サービス)
介護費用
最小で年間12万円から、特別養護老人ホームなどでは年間600万円かかることがあります。
洗脳と支配の再燃
毒親が近づいてくる理由には、孤独感、経済的困窮、介護の必要性などが挙げられます。これにより子どもに対する支配や依存が再燃する可能性があります。
加害者家族になる可能性
高齢者の交通事故や犯罪行為に巻き込まれ、子どもが加害者家族となるリスクも考えられます。
あなた自身の対応

かつて虐待を受けた子どもにとって、毒親が再び近づいてくることは感情的に複雑で、トラウマを再び呼び起こす可能性があります。このような状況に対処するためには、以下の点が重要です。
境界線の設定
自分の感情と健康・現在の暮らしや家族を守るために、明確な境界線を設定することが重要です。
機能不全家族育ち・毒親育ち・被虐待児のなかには「NOと言えない」「断りたくても断ることが難しい」という生きづらさを持ち続けている人や、トラウマや過去の恐怖から断ることがどうしてもできないという人達も少なくありません。
専門家のサポート
そういったばあいには、担当の心理士や相談員・カウンセラーを頼りに「境界線」を引くコツや支援を得ることも可能ですし、力強く頼れるご友人に守っていただくことも選択肢に入れてください。※万が一の時には頼ってくださいね!
本心を聴く
なによりもあなた自身の健康と精神の安定、ようやく得られたかけがえのない小さな幸せ守ることを最優先に「あなたの本心」に耳を傾けて『あなた軸』で考えることがもっとも大切です。
毒親との関係を、毒親に求められるまま言われるがまま、受け入れる必要は絶対にありません。

親が近づいてくる理由がどんなものであれ、最終的には子ども自身の選択と感情が最も重要です。無理に関係を修復する必要はなく、自分自身の幸せを最優先に考えてほしいです。自己判断が難しい場合は支援の手を掴んでね!
加害者家族になる可能性

- 高齢者ドライバーによる事故
- 年金生活が困難な場合、窃盗や詐欺などの犯罪に手を染めることも
- 「アルツハイマー型認知症」や精神疾患による判断力や感情失禁による暴力的な行動や犯罪行為
- 「前頭側頭型認知症」による万引き、窃盗、性犯罪、交通ルール違反、暴行暴言障害
今回のまとめ
これからも毒親に関わっていくか、関係を絶つか。選択肢は2つしかないと書いた理由がすこしは伝わったでしょうか。

愛情をかけて育ててもらった親でさえ、高齢者、後期高齢者になれば子どもにかかる負担はとてつもなく大きくなり、親を大切に思う気持ちと介護のつらさを両天秤にかけることが難しいと言われるほどです。
毒親に苦しめられてきた――現在も苦しんでいる――患者さんと日々接しています。自分の老いを感じて、今さら近づいてくる毒親ってとても多いです。私の毒母もそうでした。※現在は基本的に縁を断っています
毒親が60歳前後だとしたら、子ども達は20代後半から30代後半の年齢ゾーンが多いのかな? キャリアアップに頑張っている人たちもいれば、自らも親となり日夜子育てに奮闘している人たちもいるでしょう。
今なおトラウマが根強く残り、人や社会にうまく溶け込めず、必死でもがき続けている子どもたちも大勢います。自分の感情を持て余した時、自分の中に「毒親の遺伝子や影響」を強く感じた時、離れなければいけないとわかっているのに離れられない時…専門家のサポートを得ることもひとつです。