はじめに
「このまま親と絶縁していていいのかな」「親からの着信があるたびに胸が軋む」「還暦を過ぎた親の面倒…誰が看るんだろう」「自分は大切にされてこなかったのに、どうして老後の面倒を看なきゃいけないの?」
そんなふうに感じている毒親育ちの30代、40代、50代の皆さんへ。
私もずっとそう思いながら生きてきました。このコラムは、あなたや当時の私と同じように、毒親に対して悶々とした思いを永く抱えながら、必死で生きて、大人になった方々に向けて書いています。
2023年から2025年の最新の調査データをもとに、毒親育ちの皆さんが今、親とどんな関係を築いているのか、そしてどんな気持ちでいるのかを、毒親の老後にどう向き合っているのか等についてまとています。
なんらかのヒントが見つかれば嬉しいです。※前後編に分かれています。
毒親育ちは6割以上?!
ある調査では、全体の6割以上の人が「自分の親は毒親だった」と感じている、という結果が出ました。特に、女性の方が男性よりも「親とうまく話せない」と感じる割合が高いようです。
みんなは親とどう付き合ってる?
大人になった今、親とどんな距離感で付き合っている人が多いのでしょうか? 時代は少しずつ変わっていて「子どもだから、どんな親の面倒でもみなけれいけない」というものではなくなってきました。
また、代行サービスも増えています。実際に私のもとにも、毒親と直接話したくないからと「会話の橋渡し」や「親の話し相手」を依頼される方々は月に6~9組ほどいらっしゃいます。
いくつかのパターンに分けて見てみましょう。

1. 一切連絡をとらない(絶縁) タップで詳細
・どこに住んでいるかも知らせず、電話もメールも完全に断っている状態です。
・調査では、15%~20%くらいの人が「親とうまく話せない」と答えており、その中には、このように完全に連絡を絶っている人も少なくありません。
・「関わると自分が壊れてしまう」「自分の人生や自分の今の家族を守りたい」という強い気持ちから、この選択をする人がいます。
・日本では数少ない意見でしたが今や「親と完全に縁を切りたい」という相談は増えています。
2. 電話やLINEだけ(最低限の連絡) タップで詳細
・直接会うのは避けるけれど、たまに連絡だけは取る、という距離感です。
・「完全に無視するのは、なんとなく気が引ける」「何かが起きた時のために念のため」といった気持ちから、この関係を続けている人が多いようです。
・だいたい3割くらいの人が、このパターンに近いかもしれません。
・昔は男性の方が親と縁を切りにくいと言われていましたが、最近は男性からの「縁を切りたい」という相談も増えています。
3. 年に1回くらい会う(お正月やお盆など) タップで詳細
・お正月やお盆など、年に1~2回だけ実家に帰って顔を見せる、というパターンです。
・結婚して子どもがいる場合、「孫の顔を見せるため」に、本当は行きたくないけれど仕方なく帰っている、という人もいます。
・このパターンは、2割くらいの人が当てはまるかもしれません。
・「帰ると昔のことを思い出して、すごく疲れる」「数日間、気分が落ち込む」という声も聞かれます。
・それでも「年に一度くらいは顔を見せないと悪いかな…」という義務感で続けている人もいます。
4. その他の関係 タップで詳細
・上の3つ以外にも、いろいろな関係があります。
・例えば、「本当は離れたいけど、お金がなくて実家を出られない」と同居を続けている人 ※ただし、家の中でも会話はほとんどない。
・「近くに住んでいるけど、用事がない限り会わない」という人。
・「お父さん(またはお母さん)とは連絡をとるけど、もう片方の親とは直接話さない」という人もいます。
・こうしたパターンは少数派(全体の1割もいないくらい)ですが、人それぞれ、複雑な事情を抱えています。
今の関係、どう感じてる?
親との距離感によって、心の中で感じていることも違ってきます。

1. 完全に連絡を絶った人 タップで詳細
・「やっと解放された!」「安心した!」と感じる人が多いようです。
・でも、一方で「本当にこれでよかったのかな…」「親を見捨ててしまったのでは?」という罪悪感や迷いを抱えている人もいます。
・調査によると、「親との関係に不安を感じる」人は4割ほどいるそうです。
・「絶縁して全く後悔していない、幸せだ!」という人も、2~3割いらっしゃいます。
2. 距離を置いて、たまに連絡する人 タップで詳細
・「ちょうどいい距離感で、少し楽になった」「自分のペースで生きられる」と感じる安心感と、
・「いつ連絡が来るかと思うとドキドキする」「いつか完全に縁を切るべきか悩む」という不安な気持ちが、半分半分くらいかもしれません。
・「本当は会いたくないけど、無視するのもつらい…」と、板挟みになっている人もいます。
3. 年に数回だけ会う人 タップで詳細
・安心感よりも、「つらい」「疲れる」「腹が立つ」といったマイナスの気持ちを感じることが多いようです。
・「本当は行きたくないけど、仕方ない」「親不孝だと思われたくない」という義務感や罪悪感で、がんばって帰省している人が多いかもしれません(7割以上の人がそう感じているかも)。
・中には、「年に一度会うことで、自分の気持ちに区切りがつく」と感じる人も、ごく少数ですがいるようです。
親との距離が近いほど、会うたびにストレスを感じやすい傾向があります。
逆に、距離を置けば置くほど、心は穏やかになりやすいですが、「これでよかったのかな?」という罪悪感や迷いを、自分の中に抱えやすくなるのかもしれません。
どちらが良い・悪いではありません。みんな、それぞれの状況の中で、悩みながら自分のバランスを見つけようとしています。
毒親育ちの30~50代【前編】のまとめ と 次回予告
今回は、毒親育ちで複雑な思いを抱えてきた30代~50代の皆さんが、今、親とどのような関係を築いているのか? そして、その関係性の中でどんな気持ちを感じているのかを見てきました。
「連絡を絶っている」「距離を置いている」「年に数回だけ会う」…様々な関係性のパターンがあり、それぞれに「安心感」や「解放感」を感じる一方で、「罪悪感」や「不安」、「迷い」といった、言葉にしにくい感情を抱えている方が少なくないようです。
もしあなたが今、親との関係で孤独や難しさを感じているとしたら、同じような経験や思いを抱えながら、自分なりの距離感を探している人がいることを、このコラムで少しでも感じていただけたなら幸いです。
次回【後編】ではさらに一歩進んで、毒親に苦しんだ過去(現在)を持つ多くの人が悩むであろう「これから先、親とどう関わっていきたいか?」「親の老後や介護の問題に、どう向き合えばいいのか?」というテーマに焦点を当てます。
他の人はどう考えているのか、どんな選択肢があるのかを知ることで、あなたがこれから進む道を考える上でのヒントや、自分の心を守るための具体的な方法が見つかるかもしれません。どうぞ、次回のコラムもご覧ください。
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