依存症の5大原因 ※代表的なもののみ
依存症が生まれる原因は、ひとつではなくさまざまな要因が絡み合っています。今回は代表的な5つの原因をわかりやすく解説していきます。
1. 習慣と欲求
- どんなこと?
人は、不安やストレスを感じると、それから逃げたい・消したい・誤魔化したい・どうにかしたいと思うものです。たとえば、アルコール摂取の場合を考えてみましょう。
嫌な気持ちを抱えているときにお酒を飲むと、一時的に気分が軽くなることがあります。この経験から「お酒を飲むと嫌なことが和らぐ」と覚えてしまい、不安やストレスを感じるたびにお酒に頼るようになってしまうことがあります。
同じように、買い物やホストクラブに通うことも、一時的にストレスや孤独を忘れさせてくれる体験になることがあります。その結果「またこの方法で嫌な気持ちを消したい」と感じ、同じ行動を繰り返すようになり、次第にやめられなくなってしまうのです。 - ポイント
- たとえば、「ストレス解消に飲んだお酒が気持ちよかった」→繰り返してしまう。
- たとえば、パチンコ台の演出などに使われていたBGMを耳にして「また行きたい!」→行きたくなってしまう。
- できてしまった「習慣」が、依存症の発症や再発の原因になる。
2. 心の弱さ
- どんなこと?
性格や考え方の特徴だけで依存症になるわけではありませんが(かつてはそのように信じられていた部分が大きい)、不安や孤独を感じやすい心の状態が影響することは実際にあります。 - ポイント
- 性格の問題ではなく「不安」「寂しさ」「ストレス」を紛らわせるために依存してしまうことがある。
- 物質への依存が進むと、性格や行動に変化が現れることもある。
3. 環境や周りの影響
- どんなこと?
子どものころからの生活環境や周囲の行動が依存症のきっかけになることがあります。とくに〔物質依存〕が発症しやすい。 - ポイント
- 家族や周りの大人がお酒を楽しんでいる姿を見て「お酒は楽しいもの」とすり込みが入る。
- SNS等により「カッコいい」「楽しい」といったイメージをすり込まれることも。
- 夜遊びなど周囲の影響でアルコールや薬物を試した結果、依存症に進むばあいもあります。
4. 遺伝的な体質
- どんなこと?
アルコールや薬物に依存しやすい体質は、家族から引き継がれることがあります。 - ポイント
- アルコール依存症の人の中には、親もお酒を飲みすぎる傾向があることが多い。
- 特にお酒を分解する酵素(体質)に影響を受けるばあいがある。
- たとえば、お酒に強い体質の人ほど飲みすぎて依存症になりやすい。
5. 脳の変化
- どんなこと?
長いあいだ、特定の依存があると脳の働きが変わっていきます。 - ポイント
- 初めは「気持ちいい」「楽しい」「落ち着く」と感じていた出来事や物質~依存行為~が、次第にその効果が薄くなる。
- 「安心」「快感」を得るために、使う量や頻度回数がどんどん増えてしまう。
- 脳の変化によって不安や落ち込みが強まり、それを和らげるためにさらに使用してしまうという悪循環。
依存症の予防:影響を受けやすい環境や状況を知る
依存症は「遺伝」「脳の働き」「環境」「心の状態」「学習」のようなさまざまな要因が組み合わさって起こります。依存症を防ぐためには「自身や家族が影響を受けやすい環境や状況」に気づき、適切なサポートや専門家に相談をすることが大切です。
先日の記事にも書きましたが、依存症に限って言えば、当人よりも「家族の受診」を先んじて受けつけている病院も少なくありません。
ご家族が良かれと思ってしているサポートが実は依存症を加速させている要因になっていることもありますので、依存症治療を積極的に行っている専門機関にご相談にあがってください。