前回のコラムでは、共感力が低い人の特徴とその強みを各々10点ずつ挙げました。今回はその続きになりますが、共感力が低いことで対人関係につまづきやすい人をカウセリングしていると、
⦁ 相手を肯定する力
⦁ 相手を承認する力
共感力が低い点をどうにかするよりも、上記2つの力を強化する方が良いのでは? と思うことがとても多いです。
共感力が欠如している人にありがちな主語
共感力が低いことで対人関係につまづきやすい人をカウセリングしていると、主語が「自分・体裁・ふつう・一般的・会社名など」になっている人が圧倒的に多いと感じます。
自分と相手でコミュニケーションをとる場合、相手の意見や相手の存在、相手の気持ちなどを無視して交流することなどできないはずなのに、
⦁ 「自分は、自分が、自分だったら」
⦁ 「一般的には、ふつうは、男は、女は」
などと主語に相手を加えない例がとっても多い。
主語を相手にする場合があるとすれば、相手を否定する時に限られているといったよくないケースも非常に多く見かけます。
たとえば悩みごとを相談された場合、ちょっとした愚痴や弱音を相手が言ってきた場合に「俺だったら」「私だったら」「普通は」「一般的には」「うち(会社名)としては」などを主語に答え始める、しかもそれがどこかで聞いたような正論だったりすることが多い。
はっきり言って、これは最悪です。
なによりも大前提として――話を持ち掛けてきた人、相談してきた人がその場、その話の中では主役です。まずは相手を中心に話を展開するのがそれこそ普通のこと。一般的です。
会話の主役の座は奪うわ、共感力は欠如してるわ、傾聴力も欠如してるわ。もうめちゃくちゃやん。なにやってんのよ(笑)
人が共感してほしいと感じる時の主な感情
人が共感を求める時には、以下のような感情が根底にあることが多いです。
1.寂しさ
自分が感じている孤独や疎外感を理解してもらいたい時に、共感を求めます。「一人じゃない」と感じることで安心感を得たいのです。
2.悲しみや失望
辛い出来事や失敗に対する悲しみを理解してほしいと感じることがあります。相手に共感されることで、自分の気持ちが正当だと感じ、少しでも心が軽くなります。
3.不安や恐れ
不安や困難に対する恐れに共感してもらいたい場合があります。共感されることで「一緒に乗り越えられる」と感じ、勇気づけられるのです。
4.喜びや感動
ポジティブな感情に対しても共感を求めます。自分の喜びや感動を他者と分かち合うことで、さらにその喜びが増幅されます。
5.怒りや不満
自分の怒りや不満に共感してもらえると、自分の感じ方が間違っていないと感じ、冷静になりやすくなります。
6.困惑や戸惑い
どう対処すべきかわからない状況で、誰かに理解してもらい、安心感やアドバイスを得たいと感じることがあります。
これら〔1~6〕に対してとるべき対応は、一般論や正論、自論を述べることではなく労いや理解、同調を先ず返すことです。つまり承認や肯定が必要不可欠。
たとえ、自分の意見とはまるで違っていて、自分には無価値に思えるような相談内容や愚痴・弱音だとしてもです。では次回、共感力の欠如は「肯定力・承認力」の底上げでカバーする、をお届けします。