初めて、飼っていた愛犬を看取った時は、私自身の泣く声で自分の体が引き裂かれるような感覚に陥りました。そのくらい“彼女”の喪失は痛みが大きかった。
この悲しみは一生癒えることがないだろうと思いましたし、癒えなくて良いとも同時に思っていました。
ペットロス
当時は「ペットロス症候群」と呼ばれていました。言葉には聞いていたけれど看取りを経験するまではそれがこんなにもつらいことだとは知りませんでした。もう、随分と昔の話になります。
こんなにも悲しいなら二度とペットは飼いたくない。
心からそう思っていたのに、私は今も保護犬を引き取り飼っています。私の人生にはいつも愛犬がいます。これまで4匹の愛犬を看取り、みおくってきました。その経験からペットロスについて触れてみたいと思います。
尚、ペットではなく家族だ――と仰る方もおられるでしょうが、コラムの性質上ここでは「ペット」と統一表記いたします。表記がどうあれ愛するものを失った痛みは同じです。ご了承ください。
ペットロスと7つの感情の移り変わり
ペットロスの感情の移り変わりは概ね以下のようになります。感情の整理は時間がかかるものですし、人それぞれ異なりはあります。
- 喪失(そうしつ) – 大切な存在を失った瞬間の感情
- 悲哀(ひあい) – 深い悲しみが続く状態
- 孤独(こどく) – 心にぽっかり穴が空いたような感覚
- 後悔(こうかい) – 「もっと何かできたのでは」と感じる思い
- 懐古(かいこ) – 過去の楽しい思い出を振り返る
- 癒着(ゆちゃく) – 心の中で強く繋がっていることを感じる
- 再生(さいせい) – 新たな一歩を踏み出そうとする気持ち
喪失感の具体的な特徴
ペットロスの喪失感は、心に大きな穴が開いたような感覚として表現されることが多いですよね。お家の中でペットがいつも居た場所に「あの子」の姿が見えないことが私はとくにつらかったです。
- 存在の欠如
- 一緒に過ごしていた時間や日常のルーティンが突然なくなる。
- ふとした瞬間に、そこにいるはずだった姿を探してしまう。
- 身体的な感覚
- 撫でた感触や、耳に残る鳴き声が懐かしく思い出される。
- どうあがいてももう二度と触れられないことの切なさ。
- 心の空白
- 「もう会えない」という現実に向き合うのがつらい。
- 思い出が蘇り、幸せだった記憶が逆に悲しみを深くする。
- 役割の喪失
- 世話をしていた日々の「役割」がなくなり、生活にぽっかりと空白ができる。
家じゅうのあちこちに思い出がつまっている
「あの子」のさいごは頸椎ヘルニアの悪化により後ろ足に麻痺が出て、歩行障害になりました。当時は今のようにペットの介護服や介護アイテムが充実していなかったため、彼女の体に合う世界でひとつしかない彼女のための介護服や歩行補助アイテムを夜通し自作していました。※手先はかなり不器用なのでめっちゃ下手でしたけど(笑)
獣医のアドバイスを活かし、家の廊下に「介護通路」を作り、1日に3回、1回10~15分、筋力が落ちないようにリハビリを行っていました。
日に日に力を失っていく彼女の後ろ足を直視しなければならないため、切ないけれど…彼女と一緒に彼女の歩幅で人生を歩いている幸せな時間でもありました。今でも鮮明にあの日々を思い出すことができます。
家じゅうの隅々に彼女との思い出があり、私がどこにいても彼女の姿を確認できるように模様替えをしたり、部屋のあちこちにモニターをつけていたので、ある日を境に彼女の姿が視界のどこにも映らなくなった現実は受け入れがたいものでした。
後悔 「もっと何かできたのでは」
喪失・悲哀・孤独・後悔が1日のうちに何度も何十回も渦を巻いて、波のように押し寄せる。「どうしてもっと早く(彼女の後ろ足がおかしくなっていることに)気づけなかったんだろう」と、自分の愚鈍さを責めました。
飼い主がペットの体の痛みに気づけない理由と対策
ペットロスで生じる様々な感情のなかで、もっとも私を苦しめた感情は「後悔」でした。自分は飼い主失格だわと、何度も自分を責めました。しかし、複数の獣医さんから教えられたのです。
ペットは飼い主さんのことが本当に好きだから「心配をかけたくない、とギリギリまで痛みを我慢してしまう」のだと。だから、飼い主さんが気づくくらい痛がっていたり様子が明らかに違っている時は……もう我慢も限界なくらいに重症になっていることが多いのだそうです。
「そんな…」
「100%とは言えませんが、半年に1度、全身の健康診断を受けることで早期発見ができます」
「1年に2回ですね、わかりました」
以降、私はその教えに素直に従って、歴代の愛犬たちの健康長寿を心から願い
- 半年に1度の詳細健康診断
- 動物病院に併設されているトリミングサロンの利用
- 日々のデンタルケアの徹底 ※非常に重要なので後日丁寧に書きます
をできる限り行っています。
犬は6倍の速さで生きているから、人間にとっての半年は犬にとっては3年になります。
3年に一度の健康診断では正直に言えば足りないほどだから、動物病院に併設されているトリミングサロンを爪切りだけ、肛門絞りだけ等、こまめに利用して「触ってもらって異変を見つけてもらう」ようにお願いしています。
ペットロス「後悔」で苦しみ過ぎないために
彼女を14歳で失った深い悲しみと「もっと何かできたのでは」「もう二度と、気づくのが遅かったという後悔をしたくない」とペットロスにより学んだことを十分に活かし、
彼女以降に飼った子たちは17歳、18歳、19歳、18歳となんとか内臓疾患知らずで寿命をまっとうさせられるようになりました。※老化による心臓肥大や足腰の衰えなどは見られます
- 喪失(そうしつ) – 大切な存在を失った瞬間の感情
- 悲哀(ひあい) – 深い悲しみが続く状態
- 孤独(こどく) – 心にぽっかり穴が空いたような感覚
- 後悔(こうかい) – 「もっと何かできたのでは」と感じる思い
- 懐古(かいこ) – 過去の楽しい思い出を振り返る
- 癒着(ゆちゃく) – 心の中で強く繋がっていることを感じる
- 再生(さいせい) – 新たな一歩を踏み出そうとする気持ち
今回はこの中から私自身が味わった〔1〕~〔4〕についてを書きました。次回は〔5〕~〔7〕をまとめたいと思います。
こんなにつらいのならもう二度と動物は飼わない、飼えないと心が悲鳴を上げたのにどうして私が犬を飼い続けているのか。その理由はあの子との〔6.癒着~心の中で強く繋がっていることを感じる〕出来事があったからなのですけれど、それはまた次回にでも。