ADHD傾向による先延ばし癖や集中力の持続の難しさは、多くの方が直面する課題です。
特に、子育てに悩む親御さんやご本人から「万策尽きて、他に良い案はないでしょうか?」と相談を受けることが多いです。
かつての日本では、男の子の部屋は「ブルー」、女の子の部屋は「ピンク」といった性別による色分けが一般的でした。
しかし現在では、こうした性差によるカラーリングは必ずしも正しいとはされず、子どもの個性や特性を尊重する風潮が強まっています。これは非常に良い変化です。
色が人間の心理に大きな影響を与えるという研究もあります。
例えば、ある色が自殺防止に寄与したデータがあります。2000年以降、特定の色を使用することで自殺率が80%以上減少した駅が多くあるのです。
集中したい部屋/集中させたい部屋の『壁の色』は何色ですか?
日本の家屋では室内の壁の色は「白」「クリームホワイト」「オフホワイト」が主流かと思いますが、ADHDの傾向があり集中力が散漫になりやすい人達は、それらの色の壁に囲まれると集中しづらいとことが多いようです。※個人差による
とくに視覚の感覚過敏を持つ人にとっては、白や黄色は眩しい色ですので嫌ってしまう理由は納得ができます。ADHDの傾向を持つ作家さんや、自閉傾向のあるアーティストの方々と過去にお話をしたことがあるのですが、
- 壁が白いと(脳が眩しいと感じるみたいで)集中ができない
- 部屋の中に黄色いものがあると「警告色だから」集中できない
と仰っておられ、ほほお! なるほど…!と思ったものです。※黄色は信号では警告を示す色であるため落ち着かない
- 野菜嫌いなお子さんは「野菜を連想させる色(例:緑色)が嫌い」なこともあります。
- 昆虫が好きなお子さんは「緑色や茶色が好き」なこともあります。
- プールやお風呂、水が嫌いなお子さんは「青、水色は逃げたくなる色」だったりします。
- 大好きなお母さんがよく身に着けている色に安心して落ち着けることも。
男の子だから青。
女の子だからピンク。
子ども部屋だから何色。
といった固定概念はとっぱらって、『お子さんの好きなものや嫌いなものから連想される色』からインテリアを見直してみるのももしかすると悪くないかもしれません。
「天井恐怖症」「材質」「質感」「柄」「椅子不要」も!
今回は色にフォーカスして話をすすめましたが、
- 「着席した場所から天井までの高さ」の高低で集中力がかわったり
- 「天井恐怖症」があるため天井が低い方が安心できて落ち着けたり、その逆も
- 感覚過敏があり、椅子や机その他の材質感により集中できなかったり
- カーテンや壁のクロスの柄や模様、柄の凹凸が気持ちが悪いと感じたり
- 「椅子に座るのが苦痛」で集中ができない、立ったままの方が集中ができたり
集中したい/させたいあまりに静かな環境を用意したものの、実はその方が落ち着かない・注意力が散漫になってしまう、「70db」の環境音/雑音が必要な人達もいます。ADHD傾向を持つ親友がまさにこのタイプです。
- スタバなどのカフェの雑音…「70~80db」
- カフェで流れているBGMの音量…「70~80db」
- 「ざぁざぁ」した雨音…「70~80db」 ※しとしとは30db
- 昔の電車の「がたんごとん音」…「70~80db」
- ネギや玉ねぎをみじん切りにする一定のリズム
- 新幹線や電車の揺れによる一定のリズム
これらがある方が集中力が上がるというお子さんや当該者は思っているよりも多いです。
ADHDのあるクリエイターさんは、作業を新幹線や電車の中で行うと仰っていました。それ以外では気が散ってしまい集中ができないのだそうです。
YouTubeには、さまざまな種類の雨音があります。みじん切りの音源もあれば、「がたんごとん音」ばかり流している動画もあります。
先延ばし癖の解決に部屋や「音」の見直しが最優先なんてことも!
個人に何が合うかなんて試してみなけりゃわかりません。
他者に寛容ではない日本ですが、なんらかの生きづらさを持つ人達にとって自分らしい選択権を得やすくはなってきたと感じます。
「こうだからこう」と決めつけずに、「自分に合うもの」「わが子に合うもの」を見つけられたらいいなーと思うのです。
- スターバックスの「ある一席」だけすごく落ち着く人
- 電車の「揺れ」を体感しながら宿題をすると集中できる人
- 受験勉強や資格試験の勉強は、ダイワロイネットホテルのシングルルームでないと落ち着けない人
- ご両親の実家にある「昔ながらの押し入れの中」でなら落ち着いて勉強ができる人
- 70dbでスムースジャズを流しながら勉強をするという、ADHD傾向あり、ASD傾向ありの男性が身近に2人いらっしゃいます
「こうだからこう」という固定観念を持たず、自分や子どもに合うものを見つけることが、ストレスや怒りを防ぐ近道かもしれません。
「ADHDだから、ASDだから」と決めつけずに、好きな色や音、昔から苦手なものを再考することで、より適した環境作りができるでしょう。
「そんな悠長なこと言ってられないんだよ!」と思ってしまう気持ちもあるかもしれませんが、そんな時は、ぜひぜひご相談ください。