小学生のいじめ加害の背景にある9つの要因

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イジメっ子がイジメをしなくなる方法なんてあるのか〔小学生編〕

カウンセリングをする立場にいる私は、イジメ被害児童やそのご家族の相談を受けることが多いです。

被害児童が中高生になると、起きた出来事や感情その他を自分の言葉で伝えてくださいますが、児童が小学生の場合はそうはいきません。

ですので小学生のイジメ問題については正直に申しまして「疎いところがあります」。ですので今回は小学校教員歴が10年以上の先生へのヒアリングを通じて、小学生のいじめ加害の背景にある9つの要因をまとめます。

ヒアリングを通じてとても驚いたのは、小学生のイジメは「児童の家庭問題に起因することは少ない」ということでした。

家庭内に問題もなく、親子関係に課題もなく、いわゆる「ふつうの子」が結果的にイジメをしてしまっているその背景にあるものとは――。

イジメを「する側」の9つの共通点|小学生編

1. 仲間がほしい、友だちと一緒にいたい

説明:小学生は「友だちと一緒にいたい」「仲間外れになりたくない」というシンプルな感情を持っています。この気持ちが強くなると、他の子を遠ざけたり、友だちとの関係を過度に守ろうとすることでトラブルや誤解が生じ、結果的にイジメに発展することがあります。

サイン:特定のグループに固執したり、仲間内での行動に過度に敏感になる。グループ内でリーダーに従う行動が多く見られる。

2. 仲間意識とグループ内の力関係

説明:グループ内でのポジションや自分の地位を守ろうとする気持ちが次第に芽生え始め、その過程で、他の子どもとの関係がぎこちなくなり、摩擦が生じることがあります。

サイン:自分が中心でいたい、またはリーダーの信頼を得たいと考え、他の子に対して指示的な態度を取ることが増える。

3. 友だちを独り占めしたいという気持ち

説明:「〇〇さん/くんと仲良くしたい」という気持ちから、他の子がその友達と仲良くするのが気になってしまうことがあります。その結果、他の子との関わりがぎこちなくなり、予期せずにトラブルや問題行動に発展することがあります。

サイン:特定の友だちとの関係を大切にするあまり、他の子を遠ざけたり、友だちを失わないように競争心が強くなる行動が見られます。

4. 悪意のない遊びや好奇心がイジメに発展

説明:小学生はまだ相手の気持ちを十分に考えられないことが多く、悪意がなくても遊びの延長で他者を傷つける行動を取ってしまうことがあります。

サイン:冗談や悪ふざけのつもりで他の子にからかいや軽い暴力を振るう。

5. 自分の意見ややり方を通したい気持ち

説明:「自分のやり方が正しい」と思ったり、友だちに自分の意見を認めてもらいたいという気持ちから、他の子に指示をしたり、自分のルールを押し通そうとすることがあります。
これは、リーダーになりたいというより、ただ自分の意見を聞いてほしいという自然な気持ちから来るものです。

サイン:他の子に指示を出したり、遊びや活動の中で自分のルールを強調する行動が見られます。

6. 家庭のストレスや抑圧の発散

説明:家庭内でのストレスや親からの過度な期待が、学校でのいじめ行動に繋がることがあります。家庭で抑圧されている子どもは、その反動で他者に対して支配的になることがあります。

サイン:

  • 家庭での話を避けたり、学校で過度に攻撃的になる。
  • 感情のコントロールが難しく、ちょっとしたことでも怒りやすくなる。
  • 学校での発言や行動に、極端な焦りや不安が見られる。
  • 家庭での状況を「重い」と感じているため、友だちとの関係でも指示的、もしくは強引な態度を取ることが増える。
  • 自分が抱えているストレスや悩みを学校で冗談や軽い皮肉のように表現し、他者への攻撃に転じる。
  • 家庭でのルールや期待に従いすぎることで、友だちとの関係で過剰に「正しさ」を求める行動が見られる。

7. 共感力の未発達

説明:小学生は他者の気持ちを理解する能力がまだ発達途中であり、自分の行動がどれだけ相手にダメージを与えるかを十分に理解するのは難しいです。
「共感力の未発達」による行動は、イジメというよりも「意地悪」の範疇に入りますが、イジメ・意地悪・からかいに線引きを以て教えることが必要になります。

サイン

  • からかいや冗談を言う際、相手の反応に気づかず、無意識に相手の痛みを見落としてしまう。
  • 「からかうつもりはなかった」と言いつつ、結果的に相手を傷つけていることに気づかず、笑って済ませてしまう。
  • クラスメートが困っていても、助けるという発想がなく、軽くあしらうような態度を取ることがある。
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8. 友人関係の変動への不安

説明:小学生の間では、友人関係が頻繁に変わりやすく、それが不安となって友達との関係がぎこちなくなってしまうことがあります。仲間外れになることを恐れて、グループ内での行動に過敏になるケースもあります。

サイン:特定のグループや友達との関係に過剰にこだわり、他の子どもと距離を置く行動が増える。

9. 大人に対する反発心の欠如

説明:小学生の場合、まだ大人への反発心が強くないため、問題行動をしても「悪いことをしている」という自覚が薄いケースがあります。これは、意地悪やイジメが「悪いこと」として十分に認識されていないことにも繋がります。

サイン:大人の前でも平然と他の子をからかう、注意されても深刻に受け取らない。

「ふつうの子」が苛める側になっている

世間的には子どものイジメの背景には複雑な家庭環境があると思われがちです。

しかし小学生のイジメ問題に関しては、「ふつうの子ども達」が特筆すべき悪意や家庭環境に問題なく――結果としてイジメをする側になっていることが多いです。

その場合はご家族や学校の早期発見と適切な指導で、すんなりと解決することも少なくありません。※問題の根が深く解決しないケースもあります

もちろん小学校高学年になってくると、分別がつき始めるので「意図して」イジメを行っている子ども達も増えてきます。そういったケースの対処法は、イジメっ子がイジメをしなくなる方法なんてあるのか〔中高生編〕でお読みくださいますようお願いいたします。

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✍私が書きました
一 真由


心療内科|「心と体」に寄り添い続けて20年。「支える側」を支えたい。当事者には寄り添いたい。ヒアリングをとくに大切にしています。


✓毒親/虐待/機能不全家族 ✓ASD/ADHD/アスペルガー ✓アダルトチルドレン(AC) ✓新型うつ/社会不安障害 ✓不登校児相談 ✓虐待連鎖断ち ✓社会復帰認知の歪み


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