インスタにも先日ポストしたのですが、恥ずかしながらかつて私には「リセット癖」がありました。※毒親育ちや機能不全家族育ちはリセット癖を持つ人が多いですよねー
今の時代だとSNSのプロフィールアイコンを頻繁に変更したり、過去の投稿の全消しをちょくちょくやらかす…などが似たような行動になるのですが、スマートフォンもSNSもなかった私の時代だと「携帯電話のメールアドレスを頻繁に変える」がそれにあたります。
今も似たようなものだと思うんですけど、当時も、このような極端な行為を行う男女のことは「メンヘラ」「かまってちゃん」と呼び、世間では「めんどくさいやつ」と認定されたり、「感情の昇降が激しいので付き合いに気をつけよう」と警戒される存在になってしまいます。
私は正直、そこまでこじらせてはいなかったと思うんですけど、「リセット癖そのもの」はなかなか完治せず、何度もそんな自分のことをバカバカバカバカ、カバ! と、心の中で罵っていました。
さて、リセット癖はいくつかにカテゴリ分けすることができます。
リセット癖は4種類

「リセット癖」とは、突然「一度ゼロにしてやり直したい」「すべてを投げ出して再スタートしたい」と思いたったら即行動に移してしまう傾向のことを指し、以下のようにカテゴライズすることができます。
- 人間関係リセット型
- 友だちや特別なパートナー。職場の同僚など、人間関係のトラブルや不安が生じると心のなかがざわざわと落ち着かず、そのしんどさに蓋をするように一気に関係を断ち切ってしまうタイプ。
- SNSのアカウントをしょっちゅう消してしまう、同じグループ内でトラブルがあると一気に離れてしまうなどのケースも。
- 環境リセット型(仕事・住居など)
- 仕事や住む場所などの「環境」に不満や不安が募ると、頻繁に転職や引越しを繰り返すタイプ。
- 新しい職場や住居に移ることで、気持ちを一新しようとするが、問題の根本解決が先送りになりがち。
- 物理的リセット型(モノの所有や外見など)
- 所持品や身の回りの物を頻繁に捨てたり断捨離をしたり、髪型やファッションを「大きく」変えたりして、自分を『ゼロに戻す』ことで落ち着こうとするタイプ。
- 特に感情が高まったときに衝動的に物を処分してしまい、後から後悔するケースもある。
- 「美容整形」とリセット癖の関係については後述しています。
- 心理的リセット型
- 記憶や感情、「これまでの自分と今の自分」をなかったことにしようとするタイプ。
- 過去の出来事や失敗を、「忘れよう」「切り離そう」とするあまり、学びや成長機会を失ってしまう。よって同じ失敗を繰り返してしまったりも…。
心理的リセット型の補足説明
➡例えば、過去に失敗やつらい経験があったばあいに、その時に感じた悲しみを通じて「自分はこういうことで悩みやすいんだ」「自分はこういったことで怒りを感じるタイプなんだ」と人は自分という人間の弱さや脆さも知っていきます。
しかし心理的リセット型は、自分についての気づきさえも、全部なかったことにしてしまおうとするようなイメージです。
具体例
- 失敗経験の学びを無視する
- テストや仕事でミスをした時、本当は「自分は時間の配分が苦手」「緊張しやすい」という弱点と克服点に気づくチャンス。
- しかし、この気づきをなかったことにして「もう自分はダメだ、ゼロからやり直そう」とだけ考えてしまうため、同じ問題をくり返してしまう。
- 本当の自分を認めずに「無理な理想像」を追う
- 自分の性格や能力の限界を直視せず、現実離れした理想像にだけ固執してしまう。
- 「自分って実はこういう所が苦手かも」という認識を全部スルーした結果、適切な対策や努力の方向性が見いだせない。
つまり「本当の自分と向き合うのが怖くて、見ないふり、なかったこと」というリセットをしてしまうタイプが当てはまります。
「美容整形」は物理的リセット癖×心理的リセット癖

美容整形も「物理的リセット癖」の一種に含まれるばあいがあります。
外見を劇的に変えることで「今までの自分とは違うんだ!」という感覚を得たいという心理が背景にあるケースも少なくありません。
ただし、美容整形の場合は外見の変化が大きいので「心理的リセット癖」の要素が強く含まれることも多いです。
1. 美容整形と「リセットの目的」
- 物理的リセット型
- 外見という大きな部分を大きく変えることで「新しい自分」になりたい思いが強い。
- 髪を切る、髪型を一新する、ファッションの傾向を大きく変えるなどと同じように「リセット感」は得られる。
- 心理的リセット型
- 過去の失敗や嫌な出来事を『この外見だったからうまくいかなかったのかも…』などと結びつけてしまいやすくなり、それごと切り離すために自分を変えたい! といった深層心理が動機になっている。
- 自己肯定感の低さや、過度な自己否定が背景にあることも多い。
2. 美容整形が「リセット癖」になるリスク
- 頻繁に繰り返す可能性
- 美容整形により理想の外見(理想の自分)に一歩近づくと、さらに不安や不満が出てしまい「もっと変えたい!」という欲求が強くなりがち。
- 「ここを変えれば、完全に生まれ変われるかも…」という期待と不安がループし、何度も整形を重ねるケースもある。➡美容整形依存
- 本質的な自己評価の問題が改善されない
- 外見を変えても、内面的な不安や対人関係の問題はそのまま残るため、根本的な解決に至らないまま。
- 思い切って自分を変えたのに心が満たされない…どうして…?! と、さらに自己否定が深まるケースも。
3. 美容整形というリセット癖を繰り返してしまうなら

- 外見を変える理由を明確に!
- 「本当にこの部分がコンプレックスで、日常生活に支障をきたしている」のか「過去の自分と今の自分を一気にリセットしたい」という思いの、どちらが強いのかを整理する。
- 美容整形前にカウンセラーや、本当に信頼のおける友だちなどに相談を重ね、丁寧に自分の本心と向き合ってください。
- その自己肯定感の低さは「周囲と環境の影響」じゃない?
- ほとんどの人が、今の自分で100%の満足はできていません。とくに日本人はマイナス思考なところがあるため「自分らしさ」や「ありのままの自分」を受けいれることが苦手です。
- しかし、コンプレックスはあるものの普通に生きていられた過去があるのに、ある時からそのコンプレックスが『強く刺激される』ことがあります。それはもう、病的なまでに。
- 「美」が商品価値になる場所で働くことになった時や、「見た目の若さ」が収入や人間関係に大きく影響する――かもしれない――と感じてしまったばあい。
- 「失恋」「面接になかなか受からない」など自分を否定されたように感じる経験をした時などに、人は強く外見のコンプレックスを刺激されてしまいます。
- 認知行動療法や対人関係療法などを取り入れ、考え方やコミュニケーションのとり方を見直すのがお勧めです。

次回はリセット癖による「本人の困りごと」と「周囲の困りごと」をお話ししたいと思います。
リセット癖って、根が深いです。
表面的には治ったように見えても、長患いのケースが多いかなーというのが私自身の経験と臨床を重ねてきた私の印象です。ですので「リセット癖のある自分が嫌いだ…」「またやってしまった…」と思ったときに、一歩踏み出してみる勇気をもってみてください。
自分のことを好きになれると、冗談抜きで「見える世界」がかわります。