騙されやすく利用されやすいのは「否定されて育った過去」が関係している|ADHD/ASDの恋愛学

カウンセラー真由|あたらしい今日|新しい今日のイメージ画像 発達障害・特性

「相手から少しでも否定的なことを言われると、ひどく落ち込んでしまう」
「優しく肯定されると、自分を受けいれられた気がして相手を信用してしまう」

このような経験はありませんか? 特に、ADHD(注意欠如・多動症)やASD(自閉スペクトラム症)の特性として「言葉を額面通りに受け取る」「相手の意図を読み取るのが苦手」といった側面を持つ方は、不誠実な相手が使う耳障りの良い言葉を、そのまま信じてしまうリスクがあります。

さらに、もしあなたが幼少期に親や周囲から否定される経験を多くしてきた場合――いわゆる機能不全家族やアダルトチルドレンの環境――その経験が現在の恋愛における「肯定的な言葉への過剰な反応」に繋がっている可能性があります。

この記事では、以下の点を明確に解説します。

  1. 「否定されることへの怖さ」がどのように形成されるか
  2. 過去の経験が、恋愛における「甘い言葉への反応」にどう影響するか
  3. 不誠実な相手が使う典型的なアプローチ方法
  4. 自分を守るために、恋愛初期に確認すべき具体的なポイント
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1. 「否定されることへの怖さ」が生まれる背景

例えば、こんな経験はありませんか?

  • 子どもの頃、周りの子と少し違う行動をすると「どうして普通にできないの?」と注意された。
  • 一生懸命やっても、テストで良い点を取っても、「ここがダメ」「もっと頑張れたはず」と足りない部分ばかり指摘された。
  • 自分の好きなことや、やりたいことを話すと「そんなことより、これをやりなさい」と頭ごなしに否定された。

ADHDやASDの特性のある方のなかには、クリエイティブでユニークな視点を持つ人も少なくありません。しかし、現代の日本ではそれゆえに周りから理解されにくかったり、「普通」とされる枠からはみ出していると見なされ、他の人よりも多く「否定される」という経験を積み重ねてきたかもしれません。

私たちは、幼少期に様々な経験を重ねるなかで、自分の言動が「他の人にどう思われるか」「どう評価されるか」を強く意識するようになります。

そうしてその評価に対して、傷ついたり喜んだり安心感を得たりする『自分の心のパターン』が少しずつ形づくられていきます。

「普通」からの逸脱を許さない環境 続きを読む
日本社会には「普通」「一般的」という曖昧な基準が強く、そこから外れると否定されたり、非難されたりする傾向が見られます。
条件付きの肯定 続きを読む
「〇〇ができたら良い子」「〇〇しないとダメ」といった、特定の条件を満たさないと認められない経験が多い。
発達障害の特性への無理解 続きを読む
ADHDやASDの特性による行動(例:集中できない・こだわりが強い・コミュニケーションの取り方に個性が光る他)を、本人の努力不足や性格の問題として否定され続ける。
養育者自身のプレッシャー 続きを読む
親が周囲からの評価を気にするあまり、子どもを「世間一般の型」にはめようとし、結果的に子どもの言動を否定し続けてしまう

これらの経験が積み重なると、「自分は受け入れられない存在だ」「何かをすると否定される」という感覚が強まり、他者からの否定的な反応に対して極度に敏感になることがあります。

2. 過去の否定経験が「甘い言葉への反応」に与える影響

幼少期から否定され続けると、「認められたい」「受け入れられたい」という欲求が非常に強くなります。そうなると恋愛において以下のように心が過剰反応してしまうことがあります。

肯定的な言葉への即時的な信頼 続きを読む
相手がどんな人物であれ、「好きだよ」「君はそのままでいいんだよ」「俺が守る」といった肯定的な言葉を聞くと、「この人は私を理解し、受け入れてくれる特別な存在だ」と瞬時に感じ、相手を過度に理想化し、疑うことなく信じてしまう。
客観的な評価の欠如 続きを読む
相手の言葉や行動に矛盾があったり、状況的に不自然だったりしても、「私を認めてくれる人」というフィルターがかかってしまう。そうなると周囲が止めても妄信してしまう。
関係維持のための過剰な同調 続きを読む
相手から否定されることを恐れるあまり、自分の意見や感情を抑え、相手に合わせすぎてしまう。

このように過去の否定経験は、現在の恋愛において、相手の言葉(特に肯定的なもの)に対する判断力を鈍らせる要因となり得ます。

3. 不誠実な相手ほど「初期の過剰な肯定」を使う傾向

残念ながら、相手を自分の都合の良いように利用しようとする不誠実な人物ほど、関係の初期段階で過剰なまでに肯定的な言葉を使う傾向が見られます。これは、相手の「認められたい」という欲求に巧みに付け込み、信頼を得てコントロールしやすくするためです。

典型的な例

  • 出会って間もないのに、『根拠なく』全肯定する
    「会った瞬間、運命だと思った」「君ほど完璧な人はいない」「全部が好きだ」「こんな人に初めて出会った」など。
  • あなたの弱さや悩みに『過剰』に同調する
    「その気持ち、すごく分かるよ(実際は理解していない)」「俺だけは君の味方だよ」など。
  • 将来の約束を安易にする
    「ずっと一緒にいよう」「必ず幸せにする」「俺に任せて」「僕がなんとかしてあげる」など、具体的な行動計画なしに甘い言葉だけを並べる。

重要な注意点

もちろん、心からそう思って言葉にする誠実な人も『奇跡的に、稀に』いなくもないです。

しかし、言葉を額面通りに受け取りやすい特性を持ち、かつ否定経験から肯定に飢えている状態にある方は、相手の言葉だけでなく、その言葉に伴う具体的な行動が一致しているかを、より注意深く観察する必要があります。

いいですか?
悪い奴ほど優しい顔をして近づいてきますからね。

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4. 小さな「違和感」を見逃さないことの重要性

カウンセリングを行っていると、「最初の頃…なんとなく変だと感じたけれど、気のせいだと思って流してしまった」という声が多く聞かれます。この「なんとなく変だ」という感覚(違和感)は、非常に重要なサインです。

違和感の例

  • 出会って間もないのに、過剰に「愛してる」「運命だ」などを連発する。
  • 都合の悪い質問や具体的な話になると、はぐらかしたり、話を逸らしたりする。
  • 言っていることと、実際の行動(連絡頻度、お金の使い方、他の人への態度など)に矛盾がある。
  • 世間一般の常識から見て不自然な状況なのに、言葉巧みに正当化しようとする。

たとえ相手の言葉が心地よくても、これらの「違和感」を感じた場合は、それを無視せず、客観的な事実として認識することが極めて重要です。

その違和感は、あなたの自己防衛本能が発している警告信号である可能性が高いからです。大切にしてください。相手の言葉は心地よくても、実際の行動や状況と合わないなら要注意です。

項目 本気度が高い相手に見られる行動の傾向 本気度が低い相手に見られる行動の傾向
アプローチの速さ 関係性を慎重に築こうとし、段階的に距離を縮めることが多い。急な告白や誘いは少ない傾向。 短期間で急速に距離を詰めようとする。初対面に近い段階で好意を伝えてくる場合がある。
ボディタッチ 相手の反応を窺いながら、段階的に行う。馴れ馴れしい接触は控えめなことが多い。 早い段階から肩や腰に手を回す、頭を撫でるなど、身体的な接触が多い場合がある。
愛情表現の言葉 具体的な行動や態度で好意を示すことが多い。「好き」「愛してる」等の直接的な言葉は慎重に使う傾向。 大げさな表現や甘い言葉を多用する。「運命」「一目惚れ」などを安易に口にする場合がある。
リスクへの態度 関係の破綻を恐れるため、慎重な判断や行動を選択する。相手を傷つけないよう配慮が見られる。 関係が終わることへの抵抗が少なく、大胆な行動や要求をしやすい。自己中心的な判断が目立つことも。
体の関係 相手の意思やペースを尊重する。精神的な繋がりを重視し、体の関係を急がない傾向がある。 自分の欲求を満たすことを優先し、早い段階で体の関係を求める。言葉巧みに誘導する場合がある。
連絡の頻度・内容 定期的で、あなたの状況を気遣う内容が見られる。一方的な要求や都合の押し付けは少ない。 自分の都合の良い時だけ連絡が来る、内容が表面的、性的な話題が多いなどの傾向が見られる場合がある。
時間やお金の使い方 あなたのために時間や労力を割くことを惜しまない。将来を見据えた使い方を意識する場合がある。 デートが短時間、お金を使わない、ドタキャンが多いなど、あなたへの投資が少ない傾向が見られる。

5. 恋愛初期に確認すべき具体的なチェックポイント

「否定される怖さ」を抱え、肯定的な言葉に反応しやすい自覚がある方は、特に恋愛の初期段階で以下の点を確認することを推奨します。

確認1:過剰な肯定や甘い言葉の頻度と具体性 続きを読む
⦁ 出会ってすぐから、理由なく全肯定する言葉や大げさな愛情表現が異常に多くないか?
具体的なエピソードに基づかない抽象的な褒め言葉ばかりではないか?
確認2:言葉と行動の一貫性 続きを読む
⦁ 「忙しい」と言いながら深夜まで頻繁に連絡してくる、
⦁ 口では優しいことを言うがお金や時間をあなたのために使わない、など、
⦁ 言葉と行動に矛盾はないか?
確認3:都合の悪い話題への反応 続きを読む
⦁ あなたが疑問に思ったことや、相手にとって都合の悪い可能性のある質問(例:家族構成や現住所、過去の恋愛、仕事の詳細など)をした際に、誠実に答えようとするか?
⦁ はぐらかしたり、逆ギレしたりしないか?
⦁ ※「電話番号を教えてほしい」と言ってみるのもひとつです。
確認4:第三者の客観的な意見 続きを読む
⦁ 信頼できる友人や家族、あるいは専門家(カウンセラーなど)に、相手の言動について客観的な意見を聞いてみる。
自分一人で判断せず、複数の視点を取り入れる。
確認5:あなた自身の感情の変化 続きを読む
⦁ その相手と一緒にいる時、安心感や穏やかな気持ちを感じるか?
⦁ それとも、「小さいけれど」どこか不安や焦り、疑念を感じるか?
⦁ 自分の直感や感情も重要な判断材料です。

自分の身を守るため、つまり『悪い人に付け込まれないため』に省いてはいけないステップというのがあります。それは「こいつ、めんどくさいな」と思われるようにすることです。

悪い人や騙そうとしている人、利用しようと思っている人、体だけが目的な人ほど「めんどうを嫌う傾向が強い」です。ですので「慎重で真面目でめんどくさい女」と思われることはデメリットではなく最大のメリットになるんですよ!

6. まとめ|自分の特性と経験を理解し、具体的な知識で身を守る

  • ADHD/ASDの「言葉を額面通りに受け取る」特性と、過去の「否定された経験」は、恋愛において「肯定的な言葉への弱さ」に繋がる可能性があることを理解しましょう。
  • この弱さは、あなたの性格のせいではなく、特性と経験の組み合わせによる過剰反応です。
  • 不誠実な相手はこの過剰反応を利用し、知り合ったばかりという「恋愛初期」の段階での過剰な肯定によって接近してくる傾向があることを知識として知っておきましょう。
  • 相手の言葉だけでなく、「言葉と行動の一貫性」を注意深く観察することが、自分を守るための具体的な方法です。
  • わずかでも「違和感」は無視せず、重要なサインとして捉えましょう。
  • 積極的に第三者に意見を求め、客観的な視点を取り入れましょう。

具体的かつ客観的な知識を身につけることで、あなたは不誠実な相手から自分自身を守り、より健全で安心できる関係を「あなたを本当に理解し受けとめてくれる相手」と築くことが可能になります。あなたの恋、応援しています✨

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