【第3回】後回しで周囲を困らせる – 人間関係への影響と内なる後悔
「自分一人の問題だから…」後回し癖について、そう思っていませんか?
しかし、私たちの先送り行動は、意外なところで誰かに影響を与え、人間関係に波紋を広げているかもしれません。締め切り遅れで同僚や取引先に迷惑をかけたり、返信を怠って友人をがっかりさせたり。
今回は後回しがもたらす人間関係へのリアルな影響と、それによって生まれる自己嫌悪や信頼損失といった「内なる後悔」に焦点を当てます。あなたの後回し、本当に誰にも迷惑をかけていないと言い切れますか?
「迷惑かけたかも…」その経験、あなただけじゃない?
「先延ばしで他人に迷惑をかけてしまったことがある」と感じている人は、実は少なくないようです。
公的な統計データは乏しいものの、インターネット上のアンケートや相談事例などからは、およそ半数前後の人が何らかの形で周囲に迷惑をかけた経験を持つと推計されています。
特にチームで仕事をする環境では、自分の遅れが直接的に他者の業務に影響を与えるため、迷惑をかけた実感を持ちやすいようです。例えば、
- 報告や連絡を後回しにして、上司や取引先に叱責された
- 共同作業で自分の担当部分が遅れ、全体のスケジュールを狂わせた
- 会議の資料準備が間に合わず、参加者に迷惑をかけた
といった経験談は、枚挙にいとまがありません。
プライベートでも、「返信を後回しにしていたら約束が流れてしまった」「頼まれごとをすっかり忘れていて友人を怒らせた」など、身近な人間関係にヒビを入れてしまうケースも。
後回しが蝕む「信頼」という名の財産
一度や二度の遅れなら「うっかりミス」で済まされるかもしれませんが、タスクの先延ばしを繰り返すと、徐々に周囲からの信頼を失っていく可能性があります。
- 「あの人はいつもギリギリだ」
- 「大事なことは任せられない」
- 「時間にルーズな人」
こうしたレッテルは、一度貼られてしまうとなかなか剥がすのが難しいものです。職場であれば昇進や重要なプロジェクトへのアサインに影響が出たり、プライベートでは友人との関係が疎遠になったりすることも。
年代別に見ると、若い世代では「うっかりミスで直接的に迷惑をかけた」という経験談が多く聞かれる一方、キャリアを重ねた中高年層では、長年の積み重ねによる「信頼の低下」という形で、じわじわと影響が表面化するケースも考えられます。
内なる声「またやってしまった…」自己嫌悪のループ
誰かに迷惑をかけたという事実は、罪悪感や自己嫌悪といったネガティブな感情を引き起こします。
「なぜ自分はいつもこうなんだろう」
「周りに迷惑ばかりかけて、申し訳ない」
こうした内なる後悔は、精神的な負担となり、さらなる行動の遅れや自己肯定感の低下を招く悪循環に陥ることもあります。
実際、前回のコラムでも触れたように、目標を実行できなかった人の約8割が後悔や罪悪感を感じています。その中には、他者への影響を悔やむ気持ちも少なからず含まれているでしょう。
「このままではダメだ」「周囲からの信用を失ってしまう」という危機感が、後回し癖改善への強い動機となる人も多いようです。「他の人に迷惑をかけたくない」という思いは、自分を変えるための大きな一歩になり得るのです。
まとめ
後回し癖は、自分自身の課題であると同時に、周囲の人々との関係性にも深く関わっています。
仕事仲間や友人、家族からの信頼を損ね、結果として自己嫌悪や後悔の念に苛まれることも少なくありません。しかしその「迷惑をかけたくない」という気持ちこそが、自分を変える原動力になることもあります。
自分の行動が他者に与える影響を意識することが、後回しループから抜け出す第一歩と言えるでしょう。
これまで、後回しの実態、原因、そして他者への影響と見てきました。では、この厄介な「先送り癖」は、果たして直せるのでしょうか?
最終回となる次回は、多くの人が抱える「直したい」という願いと、実際に癖を克服した人たちが実践したリアルな対策法。そして行動を変えるためのヒントを具体的にお届けします。
✍オンラインカウンセリング「あたらしい今日」主宰・カウンセラー真由
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