共感力の低い親に育てられた子どもは、以下のような辛さを抱えやすい傾向があります。
親からの理解や共感が少ないと、子どもの自己肯定感や人間関係に大きく影響を及ぼすことがあり、その後ながきにわたり苦労が多くなります。
共感力の低い親に育てられた子どもの心理特徴5
❶自分の感情を受け入れてもらえない
親に気持ちをわかってもらえないと感じ、悲しみや不安を誰にも共有できず、孤立感を抱きがちです。
❷自己肯定感の低下
親に否定されたり、感情を軽視されることで「自分は価値がない」「自分の気持ちは間違っている」と感じ、自己肯定感が低くなりやすくなります。
❸他者の感情を理解するのが難しい
共感的な関わりが不足すると、成長しても他者の感情や意図を理解するのが苦手になり、人間関係でのトラブルが増えることがあります。
❹自分の気持ちを表現しにくい
小さい頃から感情を受け入れてもらえなかった場合、自分の気持ちを口にするのが難しくなり、将来的にコミュニケーションで苦労することが多いです。
❺親の期待に縛られやすい
自分の思いや感情を尊重してもらえないと、親の期待や意向に従おうとしすぎてしまい、自分の本当の望みがわからなくなることがあります。
こうした辛さを抱えた子どもは、自己肯定感を育みにくくなり、大人になってからも自己表現や人間関係において困難を感じることが多くなる傾向があります。
あくまでも私がこれまで直接、治療やカウンセリングに携わってきた経験では、上記にあてはまる人達の2~3割は共感に対して過剰反応してしまう傾向にあり、残りの7~8割は――
共感力が低いことによる社会的影響〔パワハラ・モラハラ加害〕
共感力の低い親に育てられ、子どもの頃に自分の感情や考えを受け入れられなかった人は、他人の気持ちや視点を理解することにハードルがでてきます。
とくに先輩や上司という立場になった時にそれは顕著になり、具体的には以下のような問題が起こりやすくなります。
・部下や後輩の悩みや不安に鈍感になる
自分の感情が受け入れられなかった経験から、他人の感情や悩みに対しても「甘え」「些細なこと」と捉えがちになり、部下や後輩の相談に対して適切な共感を示せないことが多いです。
・一方的な指示や押し付けがち
自分が親の期待に縛られてきた経験から、部下や後輩にも「こうすべきだ」「常識的に考えてこうあるべきだ」と一方的に指示しがちで、部下の意見を聞く姿勢が欠けることが多くなります。
・部下や後輩の成長を支援しにくい
共感力に欠けがあると、部下の成長や苦労を理解できないため、的確なサポートができず、部下は「自分の気持ちがわかってもらえない」と感じやすくなります。
・チームワークに乏しい
他者の視点を理解するのが難しいため、チーム内での調整や配慮に欠け、必要以上に業務の進行がぎくしゃくする原因になります。
・コミュニケーションが表面的になる
他人の感情に共感できないため、コミュニケーションが業務連絡や指示に終始しがちです。これにより、部下や後輩との信頼関係が築きにくくなり、相談されにくい環境が生まれます。
そしてある日、彼らにとっては身に覚えのない注意忠告・叱責を受けることになります。
私がモラハラをしていると社内で問題になっています…どうすれば…
私が昭和の価値観を振りかざし、話を聞いてくれないと苦情が上がっているそうです…
私がパワハラをしていると多数の証言が出ていて、このままではクビになりそうです…夜も眠れず食事も喉を通りません。助けてください…
このような相談がここ数年で異常ともいえるほど増加しました。
昔のように理不尽さに耐える若者は減り、時代の変化とともに彼らはこぶしを挙げる意志と「駆け込む場所」を持ちました。
このような状況になることを未然に防ぐために、共感力や傾聴力の低さを、肯定力と承認力を身につけることによって補う必要性があると私は強く思います。
共感力の低さや欠如によってパワハラ・モラハラを訴えられる前に
育成環境や成長過程におけるつらい出来事がきっかけ等、様々な理由で共感力や傾聴力に欠けがある人と、ASD/アスペルガーの傾向があるため、その傾向を持たない人々の思考や発言に共感することができない、共感することが難しい人がいます。 ※ASDだから共感力がないという視点は誤りです
⦁ 共感されないつらさ
⦁ 共感できないつらさ
⦁ 共感されてこなかったから、共感の仕方がわからないつらさ
「共感力がない」といっても、ひとつに括ることはできません。
様々な角度から共感力や傾聴力を身に着けられるようアプローチをしたり、代替として肯定力や承認力の成長を促したり、他者との温度差が発生したときにすぐに対応をサポートしたり。
画一的ではない、柔軟性のあるカウンセリングを日々行っています。悩んでおられることがあれば、取り返しのつかない状況になる前に一度ご相談ください。