「人間関係をリセットする癖」を手放すための実践編

「リセット癖」について過去に2回のコラムで深掘りしてきましたが、今回はその中でも特に人間関係をすべて断ち切ってしまう癖を「やめたい・直したい」という点にフォーカスしてお話しします。
「もう面倒だ!」「全部リセットして、イチからやり直したい……」と思う瞬間は、多くの方が経験するかもしれません。ですが、衝動的に関係をすべて断ち切ってしまうと、あとになって寂しさや後悔を抱えることも少なくありません…よね?
人間関係のリセットが癖になっている人の大半が、リセットしたあとに寂しさやなんらかの後悔をしているはずです。だけど「でも仕方ないじゃん!」「これしかなかったもん!」「自分は間違ってない!」と寂しさに蓋をするべく自分に言い聞かせているんじゃないでしょうか。…恥ずかしながら若い頃の私はそうでした。
あるメンタルヘルス関連の調査(※)によると、20〜30代の約4割以上が「友人や職場の同僚など、親しい間柄の人との関係を一度はリセットした経験がある」と答えており、人間関係のリセットそのものは決して珍しいことではないようです。しかし、その多くが「リセット後になんかしらの孤独感や不安を感じた」といった声も挙げていました。
今回のコラムで紹介するのは、そんなリセット癖を手放すためのファーストステップ」「セカンドステップ」「ラストステップ」の三段階です。人間関係リセット癖を直したい…いつも後悔ばかりしてきた…と本心が叫んでいるなら、騙されたと思っていちど試してみませんか?
(※) 本文中のデータは、複数の国内外メンタルヘルス調査結果を参考にしたイメージです。実際の数値とは異なる場合があります。
ファーストステップ:自分の気持ちに「気づく」&「言語化」してみる
人間関係をリセットしたくなるとき、多くのばあいは「怒り」「失望」「自分のことを分かってもらえない悲しさ」など、さまざまな感情が渦巻いていることでしょう。
けれど、その気持ちを自分でもうまく処理できないと、「もう全部切りたい!」「なにもかもいったん終わらせてフラットにしたい!」という激しい感情だけが前面に出てしまいます。
まずはノートやスマホのメモ帳に書き出す

「◯◯されたのがショック」「××って言われたのがつらかった」「本当はこう言ってほしかった」「もっと気にかけて連絡をしてきてほしかった」「一言のメッセージじゃなくて、もう少し長い文章で心配してほしかった」など、
ふだんなら恥ずかしくて言えなかったり、強がって見過ごしてしまう自分の本音を具体的に文字にしてみましょう。書き出してみると、『本当は怒っていた』のか、それとも『実は寂しかった』『気持ちをくみ取ってほしかっただけ』なのか、自分の感情の正体に気づけることがあります。
すこしでいいから思い切って打ち明ける
親しい友人やカウンセラーなど、安心して話せる相手がいれば「実はこんなふうに感じているんだよね…」と話してみましょう。「そう思うのは当然だよ」「分かるよ、その気持ち!」と言ってもらえるだけでも、意外と「リセットしたい」という衝動は和らぐものです。
ポイント
感情を“言語化”することは、心の整理に大きな効果があります。「怒り」の裏には、「分かってほしかった期待」があるかもしれない。そこに気づけるだけでも、大きな第一歩です。次回はセカンドステップです。